〈依頼人プロフィール〉
上條 裕子さん 44歳 女性
東京都在住
会社員(製造業事務)
◇
風邪さえほとんどひくことのなかった母が6月に息を引き取りました。65歳でした。
2年ほど前にガンになり、神経麻痺が原因で両手足がしびれ、2月頃から歩行が困難になり、春からは徐々に食べることができなくなりました。そのうち液体さえ飲めなくなり、水はガーゼで口をしめらせるだけ。次第に意識が朦朧として、最期はほとんど眠っているような状態が続きました。
亡くなる前、お花を見せると「まあ、きれい!」と目をぱっちりさせ、匂いをかいでくれたことがありました。それからは毎日、病院へ行く途中に花屋に寄り、お花を持って行きました。
母は専業主婦でしたが、いつもアクティブで好奇心があり、流行りものが大好きでした。私も着られるような若いテイストの洋服を買ったり、ゴルフや海外旅行、グルメも楽しんでいました。
お花も個性のあるものが好きで、昔から「母の日にカーネーションはいや」、「私の仏壇に菊はやめてね」と言ったりしていました。死期を悟ったのか、「そのときがきたら、カスミソウとか西洋花を飾ってね」と口にしていました。看護婦さんには「フリージアが好き」と話していたそうです。
家の庭には、梅、芝桜、パンジー、チューリップ、紫陽花などいろいろな植物が植えてあります。冬に入院したまま、それらの花が咲くのを見ることなく季節が過ぎていってしまったことがとても寂しいです。
この1カ月半は毎日、父や妹、母の妹など、必ず誰かが病室にいました。「ここだけ空気が明るいわね」「いい家族がいるから、きっとお母さんも頑張っているのね」と看護婦さんが声をかけてくれました。
でも、もう母はいません。葬儀は、家族や親戚だけでひっそりと行いました。「友達には言わないで」と母に言われていたので、親しい友人には母の死をまだ知らせていません。
できれば、母が生きているうちに東さんのお花を見せたかったけれど、もう叶いません。でも、花が好きだった天国の母に、東さんのお花を贈りたいです。
もしできることなら、ハワイなど南国系のお花でアレンジしてもらえないでしょうか。昨年、私がハワイに行くと言ったら、「いいなあ」と呟(つぶや)いていたのです。今年の2月頃、病気でつらそうだった母にハワイ旅行をプレゼントしようと思っていたのですが、実現できませんでした。以前、母が彼女の妹に「ハワイに行かない?」と誘っていたことも最近聞きました。どうぞよろしくお願いします。

1976年、福岡県生まれ。男3人兄弟の末っ子。2002年、東京・銀座に「ジャルダン・デ・フルール」を開く。05年、パリのセレクトショップでクリスマス・ディスプレーを手がけて評判を呼ぶ。07年以降、ドイツ、イタリア、ベルギーをはじめ国内外で展示会を開く。他業種とのコラボレーション商品の開発にもかかわり、12年からサントリー・ミドリエのクリエイティブ・ディレクターに就任。現在は、東京・南青山に拠点を構える。
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