リノベーション・スタイル

<29>部屋の中に三つの小屋がある

  • 文 石井健
  • 2013年8月7日
[Erde](東京都練馬区)鈴木さん一家(夫37歳、妻37歳、長男2歳)/築9年/62.92m²/工事費1千万円

  • [Erde](東京都練馬区)鈴木さん一家(夫37歳、妻37歳、長男2歳)/築9年/62.92m²/工事費1千万円

  • 大きな“小屋”の中には寝室とウォークインクローゼットがある

  • 洗面所の中も小屋の中にいるような雰囲気だ

  • 寝室の壁の上部はガラス。圧迫が軽減され、防音効果がある

  • 玄関から中に入ると、小屋がたくさん。手前はワークスペース

  • 左の壁は下足。右側の壁の向こうはウォークインクローゼット

  • 間取り図

 鈴木さんご夫婦は結婚を機に家を買うことになり、リノベーション前提の中古物件を探すことになりました。

 希望エリアは以前から住んでいた江古田周辺。この辺り、特に新江古田から練馬高野台のあたりは、いま狙い目なんですよ。築浅で、グレードの高いマンションが比較的、手頃な値段であるんです。今回見つけた物件も、築10年の立派なマンション。リノベーションをしなくても十分きれいな部屋です(笑)。ただ、せっかく1階の広い庭付きの部屋が手に入ったので、庭を生かした部屋にしたいということで、ゼロから部屋作りをしました。

 私が提案したアイディアは「部屋の中に小屋があり、広い敷地の中をぐるぐる歩き回れるような空間」です。室内にいても屋外にいるような雰囲気が出せたらいいなと思ったのです。見通しのいいワンルームとは対極にありますが、散策するように室内を歩くことでいろいろなシーンが生まれ、部屋の見え方や使い方が増えていきます。

 大きく分けて、三つの“小屋”を造りました。一つ目は玄関を入ってすぐのワークスペース。ここにはピアノとデスクを置きました。上半分が大きく開いていますが、将来個室にするときは、サッシなどで仕切ることができます。

 もう一つは、ウォークインクローゼットとベッドルームが一体となった“小屋”。隣り合った2部屋はドアで繋がっています。クローゼットは圧迫感を感じないよう上部を開けていますが、ベッドルームは防音のために透明ガラスを入れました。

 三つ目は玄関の下足。柱のように見えますが、上部まで板を張っているので、意外と存在感があり、“小屋”が三つつあるように見えるんです。

 どの壁も昔の家の下見板張り風にして、素朴な雰囲気を出しました。微妙に色の違うラワン材を使っています。年数とともに味が出てくると、さらによくなると思います。

 都内にいながら、どこか自然を感じられる住まい。いかにもすくすくとお子さんが育ちそうな、暖かみのある家ができました。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)

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