リノベーション・スタイル

<30>家具の高さを70cmに統一して広さを

  • 文 石井健
  • 2013年8月21日
[Y邸](東京都大田区)Yさん夫婦(夫38歳、妻32歳)/築43年/70.60m²/工事費1200万円

  • [Y邸](東京都大田区)Yさん夫婦(夫38歳、妻32歳)/築43年/70.60m²/工事費1200万円

  • 棚、机、キッチンなど家具の高さをすべて統一した

  • ワークスペースの隣にサニタリースペースがある

  • 琥珀色が美しい泡ガラスのパーテーション

  • 玄関から階段を上がって部屋に入る。自転車を2台かけている

  • トイレは鮮やかな緑で、清潔感を

  • 間取り図

 Yさん夫婦は、「もう少し広い部屋に引っ越したい」と相談に来られました。もともと蒲田に住んでいて、今後も愛着のある蒲田に住みたいということで、そのエリアで物件を探しました。

 見つかったのは、築45年のちょっと変わったマンション。メゾネットのようになっていて、玄関だけが2階にあり、3階に居室があるというお部屋です。部屋の両サイドにバルコニーがついているので、明るく風通しのいい好条件。

 おふたりの希望は「広い部屋に住みたい」ということだったので、両側のバルコニーを生かし、外に向かって広がっていくような平面的な広さを強調した空間ができないかと考えました。

 そこで提案したのが、棚やテーブルの高さを統一したフラットな空間です。家具も造作し、高さは70cm程度にすべてそろえました。通常、キッチンの高さは85〜90cmなので、キッチンは他とあわせるために床を少し下げています。なんとなくプールに入っているみたいです。見えない水面のようなものがあり、空間が横に広がっていくように感じられるんです。

 また、この部屋は階段が特徴的だったので、そこを中庭に見立てました。“中庭”を介して空間が繋がるよう壁を取ってワンルームにしました。入って右側にLDK、左側に寝室とウォークインクローゼットを作りましたが、寝室からリビングのバルコニーまで視界が通るように設計しています。

 階段と寝室の境にはパーテーションを置きましたが、視界を遮らないガラスとスチールサッシ製にしました。ガラスは琥珀(こはく)色で泡入りです。奥様が選んだキッチンの黄色い壁と上手くマッチしました。

 ウォークインクローゼットには扉がありませんが、階段からは洋服は目に入らず、窓の外が見えるようになっています。そうすることで視線が外に抜け、解放感が得られます。

 広さを演出するときには、シンプルな何もない空間を作るのもひとつの方法ですが、今回のように、水平の広さを感じさせたり、“中庭”を介して視線をつなげたりすることもできます。同じ部屋でも、作り方によって全体の印象は大きく変わるのです。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)


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