リノベーション・スタイル

<45>玄関入ると、ガラス張りのバスルーム

  • 文 石井健
  • 2013年12月4日

 [AROUND]

 増田さん夫婦(夫35歳、妻33歳)
 東京都新宿区
 築38年 / 55.00m²
 工事費820万円

 物件を探すときは、どうしても自分にとって馴染みのあるエリアに限定しがちです。でも、そこが最適かどうかは実はわからないものです。

 東中野の中古マンションをリノベーションした増田さんご夫婦は、もともと違うエリアに住んでいました。都内に通勤ができれば、特に希望するエリアはないとのことだったので、当初は「郊外×築浅×広い」とか、「都心×古い×コンパクト」といった条件の掛け合わせで物件を紹介していました。

 そうやって、いくつか物件を見て行くうちに、転勤があったときに賃貸に出せる物件がいいということになり、流動性のいい都心部の駅近物件に絞っていきました。買い替えの場合は都内ならどこでも問題ありませんが、賃貸に出すとなると立地が重要になります。

 そこで東中野駅からほど近い築38年の中古マンションを購入することに。意外とこの辺りは神田川沿いの緑がきれいで落ち着いているのに、都心に近いんです。今ではすっかり「住めば都」で都心の生活を満喫していらっしゃいます。

 内装はとにかく「シンプルにしたい」という要望がありました。ただ、よく話を聞いていると、シンプルというよりは、光と風が抜ける「オープン」な部屋が欲しいということじゃないか、という気がしてきました。そこで、最終的にはコンパクトでありながら開放感のある部屋を目指すことになったのです。

 もっともインパクトがあるのは、玄関に入ってすぐ目に飛び込んでくる、ガラス張りの風呂でしょう。あまりこういうことはしないのですが、今回は部屋を広く見せるために思い切ってガラスにしました。バーチカルブラインドがあるので、使用するときはもちろん目隠しできます。

 ワンルームにベッドを置いていますが、ベッドスペースも風呂と同じバーチカルブラインドでぐるっと周りを囲めるので、寝るときはベッドルームのようにできます。光と風が通るので、ベッドだけの空間でも閉塞感はありません。

 バスルームの壁からベッドルームまではベンチ兼収納を設置し、廊下をひとつの居場所にしました。縁側のようなイメージです。リビングの壁はコンクリートがきれいだったため、そのまま残すことを現場で決めました。

 コンクリートの壁、無垢材のフローリング、白を基調とした明るい部屋……。彼らが好きな「シンプル」は偶然、賃貸にも出しやすいテイストでした。将来のことを見据えながらも、今の自分たちが心地よい暮らしを追求する。若い2人ならではの賢いリノベーションですよね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)

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