リノベーション・スタイル

<47>モノは全部、照明まで“しまえる”部屋

  • 文 石井健
  • 2013年12月18日

 [zebra]
 Bさん夫妻(夫39歳、妻34歳)
 埼玉県和光市
 築23年 / 74.17m²
 工事費 約1100万円

 Bさんご夫婦のテーマは大きく二つありました。一つは広くてくつろげるリビングが欲しいということ。そしてもう一つは、「全部しまいたい!」ということです。

 そこで、LDKをワンルームにして40m²ほどのゆったりした空間を作り、各所に収納を作りました。一番大きいのは、キッチンからダイニングにかけて設置した5.5メートルある長い壁面収納です。キッチン側にはストック類、食器、調理器具などが、ダイニング側にはあらゆる生活雑貨が収納できるようになっています。

 しまうモノに応じて、棚の中はいろいろと作り方を変えています。リビングにも床と同じローズウッドを使ったAV収納を作り、オーディオ類はすべてそこに入るようにしました。洋服は一部屋まるごとウォークインクローゼットにしたので、そこにすべて収納されています。

 Bさんご夫婦はソファやテーブル以外、家具はほとんど買っていません。収納家具はけっこう値段も高く、買いたくないという人が多いもの。すべて作り付けにするとかなりすっきりし、効率的で見た目も美しくなります。

 ちなみに片付けが苦手という人は、「何をどこにいれていいかわからない」という場合がほとんどです。だから、リノベーションはいいチャンス。何をどこにしまうかを決めて部屋を作ればいいのです。

 僕らは、プランを練る前に、担当者が必ず施主さんのご自宅にうかがうようにしています。そこでモノの量をまずつかむのです。何を捨て、何が増え、何をどこにしまうか。それを最初に確認します。「その人にとって家とは何か」を考えるのと同時に、収納量を決めるのです。部屋を広くみせるテクニックはいくらでもありますが、収納量は変えられません。服を選ぶときに、「やせて見える服」「女らしい服」などいろいろあっても、サイズがなければ「やせて見える」以前の問題なのと同じです(笑)。

 LDKを真ん中で白と黒に分けたのはこちらからの提案。おふたりが希望していた「明るく清潔感のあるキッチン」と「落ち着けるリビング」をワンルームで実現しました。キッチンダイニングは白いタイルで、リビングは落ち着いた色のローズウッドでまとめています。

 この部屋には1カ所だけ「散らかしてもいい」空間があるのですが、それがリビングの奥にある奥様のワークスペース。趣味の洋裁をする空間になっています。上部吹き抜けの壁で囲っているので、リビングからは見えません。

 寝室やウォークインクローゼットなどのプライベート空間も、実は上手に“しまわれて”いて、玄関の下足などの扉の一つが寝室へ入る扉になっています。一見すると、どこに寝室があるのかわかりません。

 さらに、「照明もしまいたい!」とのことで、天井に照明器具はつけませんでした。部屋をぐるっと囲む梁(はり)の中に照明が仕込まれており、間接照明で部屋を照らしています。

 すでにお気づきかもしれませんが、部屋の名前の「zebra」は、LDKが真ん中で白と黒に分かれていること、そして奥様がきれい好きで「しまい魔」だったことをかけています(笑)。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)


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