リノベーション・スタイル

<50>「斬新すぎる」と方針転換、カフェ風に

  • 文 石井健
  • 2014年1月15日

 [FIKA]
 Nさん夫妻(夫32歳)
 千葉県市川市
 築14年 / 62.41m²
 工事費 約1200万円

 中古物件を購入する際は、リノベーションプランを最初に考える必要がある場合と、購入後にどうにでもできる場合があります。つまり、部屋が特殊な間取りなどで制約が多い場合は、住み手が希望しているライフスタイルが実現できるかどうか、あらかじめ綿密に詰める必要があるのです。

 Nさんご夫妻の場合は、部屋の一部がマンションのエレベーター部分にかかっていたため、物件契約の前にしっかりプランを練り、購入した時点ですでに間取りは決まっていました。逆に言えば、リノベーションプランが物件購入の決定打になったのです。

 当初のテーマは「整理整頓」でした。片付けがお好きだったので、目指したのは、ARTS & SCIENCE のアートディレクションで知られる平林奈緒美さんのオフィス。棚に箱をずらりと並べてモノを収納するというイメージです。全体のトーンはモノクロで、廊下の壁を斜めにして、「桟橋を渡る」ようなイメージでリビングへ……。雑誌に載った写真を見て、「これでいきましょう!」となったのですが、その後、Nさんご夫妻の気持ちが変わっていきました。

「やっぱり、斬新すぎるかもしれない」。そして、「初心に戻ります」とおっしゃったため、プランを大幅に変更。おふたりは「カフェのような家に住みたい」という結論にたどりついたようでした。木目を多用し、朝コーヒーをゆっくり飲めるような空間です。

 そこで、まず一番に変えたのは、壁一面に造る予定だった棚をすべて取り払ったこと。そして、最初のプランから、いらないと考えるようになったものを引いて行くという作業が始まりました。

 素材やパーツについては、Nさんご夫妻が好きなものが三つあり、それは最後まで残しました。一つは“ローズウッドのフローリング”。それから“青い扉”と“黒革鉄風のスチール”です。青い扉はベッドルームの入り口に使い、黒いスチールはフックや内干し用のハンガーなどに使いました。「整理整頓」の世界観は、ウオークインクローゼットに少し残っています。

 玄関からリビングへつながる廊下には、エジソン球のすずらん灯をつけました。スイッチはアメリカ製のトグルスイッチ。玄関からキッチンまでの左側の壁は黒板塗装にして、マグネットなどで紙を貼ったりできるようにしました。

 このように設計が2段階になりましたが、基本となる平面計画は最初にしっかりやっていたので、問題なく対応できました。家造りというのは、何度もできることではありませんし、プランを進める中で世界観が変わるのはしょうがないこと。だからこそ、最初のプランニングさえしっかりやっておけば、その後がらりと雰囲気を変えたくなっても大丈夫なんですね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から500件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)

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