太陽のまちから

原発という巨大システムとの訣別

  • 文 保坂展人
  • 2014年1月28日

1月23日、東京都知事選挙が始まりました。猪瀬直樹・前知事の辞任にともなう首都東京のトップリーダーを選ぶ選挙です。いまだに、メディアの中には「脱原発は都知事選挙の争点にはならない。それは国の政策だからだ」という主張がありますが、私はそうは思いません。

 その理由を、このコラムで2回にわたって書いてきました。(「東京から『原発ゼロ』を進める必然性」「脱原発は単なる『ワンイシュー』ではない」

 今回は、これまでと違う角度から論じてみたいと思います。「原発問題は議論のテーマではない」という人たちがあげるのは、「子育て支援」「高齢者福祉」「中小企業振興」など「暮らしに密着した政策を論じよ」というものです。

 まさに、私が日々の仕事のほとんどの時間を使って取り組んでいるものばかりです。自治体の責務である「住民の生命、財産、安全を守る」という点で、どれもとても重要な課題です。

 たとえば、2013年夏、東京23区内で115人の方が室内で熱中症にかかって亡くなりました。その多くが高齢者で、エアコンがないか、壊れているか、あっても使用してない方でした。(熱中症死亡者の状況

 世田谷区でも9人の方が亡くなりました。そこで、犠牲者を減らすために、ひとり暮らしの高齢者が室内で「熱中症の危険度」を確認できるような配布物を配ったり、猛暑時に涼しい処でみんなですごす「クール・シェア」をすすめたりしています。

 高度経済成長を経て、成長があたりまえだった時代は終わり、人口減少社会に転じています。地域では高齢化が一層進み、行政への需要が増す一方で財源は限られる、という時代を迎えています。しかも、かつてあった「家族」のかたちは劇的に変わりました。

 世田谷区の65歳以上の高齢者のうち「一人暮らし」が約30%(約5万人)、65歳以上の「高齢者のみの世帯(夫婦)」は約36%(約6万人)を占めます。また、世田谷区の行なった全高齢者調査では、一人暮らしの高齢者で家族や親族・友人と連絡する機会が少ない「社会的孤立」の状況にある方が15.7%(男性は29.2%)という結果も出ています。

 「おはよう」とか「ただいま」とか、ひと言でも誰かと話すという、あたり前のように思われていることが、心と体の健康のためとても重要であり、そういうことを大切にできる社会にしていかなければならないと思います。

 そうした時代だからこそ、暮らしの場である地域コミュニティの中で、区民がお互いに助け合い、支えあい、さらに行政がそれを補完するという仕組みをつくろうと考えています。地域の見守りなどの緩やかな福祉サービスをはじめ、住民同士の顔の見える関係を活かした温かな地域コミュニティを再構築することが私たちの課題です。

 高齢者福祉も、子育て支援も、大型施設中心の供給型から、地域に密着した小規模の場づくりによる住民参加型へとシフトしてきています。大きなシステムを行政が構築して、住民はそこを選ぶ以外の選択肢がないという社会から、地域の実情にあわせた参加と協働の社会へと変われるかどうかがポイントで、エネルギーの問題もまさに同一です。

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PROFILE

保坂展人(ほさか・のぶと)

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03〜05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。

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