太陽のまちから

大雪対策でも「ありえない」を想定する

  • 文 保坂展人
  • 2014年2月18日

写真:埼玉県秩父市でも雪で車が立ち往生。除雪して道を広げる光景があちこちでみられた(2月16日)埼玉県秩父市でも雪で車が立ち往生。除雪して道を広げる光景があちこちでみられた(2月16日)

 2月に入って、東京も2週続けて大雪に見舞われました。関東甲信越・東北・北海道を中心に被害が広がり、死者もでています。山梨県、群馬県などでは記録的な積雪のために孤立してしまった集落や自治体もありました。そして、今後、大雪はさらに続くかもしれないとの天気予報も出されています。

 1月には、アメリカを寒波による異常低温や大雪が襲いました。そして2月13日にも、大規模な大雪で交通機関等が大きな影響を受けたと伝えられています。この雪のことをスノーとハルマゲドンとをかけて「スノーマゲドン」と呼ぶ人たちも出てきているとのことです。

 昨年、世田谷区の交流都市である新潟県十日町市の「雪まつり」に行きましたが、4〜5mもの積雪をかいくぐって除雪車が動き、市民の日常生活を維持するだけでなく、数万人が集まるイベントも実現していました。

 一方、東京では、20cm積もっても大雪です。住民からは「除雪車を出してくれ」という声があがりますが、世田谷区には除雪車はありません。昨年も今年も、大雪対策は人海戦術です。土木の職員を中心に100名が泊り込んで、滑りやすい坂道などに塩化カルシウムをまいたり、公道を中心に人力で雪かきをしています。とても、区内全域に出ることはできない状況です。

 2月に入っての積雪は20cm前後だったので、何とかこの方式でしのぎましたが、甲府市のように1mを越す積雪になると、都市機能は完全に麻痺(まひ)します。幹線道路も含めて車両の移動ができなくなり、物流も止まることが予想されます。急病人の緊急搬送や人工透析などの治療を必要とする人にとっては、生命の問題と直結します。

 そこまでいかなくても、高齢化した社会では、高齢者がこれだけの雪をかき出すことは難しいでしょう。そんなときに、地域の人々が協力して互いに助け合えるかどうか。路面に残る雪の量が地域の「コミュニティ力」を示しているようにも思います。

 明治以降、東京で観測史上、最大の積雪は1883年(明治16年)の46cmだそうですが、いまから200年ほど前の1822年には、品川で2mの積雪があったとの記録もある、と伝えられています。

 2月14日から15日にかけての大雪は、各地で積雪記録を大きく塗り替えています。群馬・草津で148cm(過去136cm)を記録したほか、前橋73cm(同37cm)、埼玉・熊谷62cm(45cm)、埼玉・秩父98cm(58cm)、長野・軽井沢99cm(72cm)、飯田81cm(56cm)、山梨・甲府116cm(49cm)、河口湖143cm(89cm)という具合です。

 台風の襲来と同様に、異常気象下の記録的な寒波や大雪に備えるために、停電にそなえた暖房の確保や食糧の備蓄などが必要となります。また、除雪車を持たない行政としては、建設や造園業といった重機を持っている事業者の協力を得て、幹線道路の除雪策を考えておかなければならないと思います。学校や幼稚園・保育園を休みとするかどうかの判断も迫られます。また、救急医療や家屋や倉庫の倒壊による負傷者の救助体制も考えなければなりません。

 願わくば、こうしたことが杞憂に終わってくれればいいのですが、異常気象下の天候を楽観的に見るわけにはいきません。すでに梅雨時期や夏には「ありえない量の豪雨」を経験している私たちは、「ありえない量の積雪」についても何ができるのか緊急に検討したいと思います。

 都市部における私たちの生活の営みは、きわめて限られた条件を前提にして成立しています。「東京の積雪はせいぜい10cm」という感覚で長い間、過ごしてきましたが、これまでにない大雪が各地を襲っている以上、首都圏でも記録的な積雪はありえると考えるのが自然だと思います。

 できることは限られているかもしれません。読者の皆さんからも、アイデアや提案をいただければと思います。

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PROFILE

保坂展人(ほさか・のぶと)

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03〜05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。

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