リノベーション・スタイル

<57>天板3枚重ねのオリジナルテーブルを

  • 文 石井健
  • 2014年3月5日

  [TZN]
 荒木さん一家(夫46歳、妻45歳、長男6歳、長女1歳)
 東京都港区
 築30年 / 68.74m²
 工事費1350万円

 

 荒木さんご夫妻は、お子さんが生まれたことがきっかけで新居を構えることになりました。 マンションの中古物件をリノベーションするにあたって、おふたりの要望は「LDKを広く使いたい」ということだけ。それ以外は「好きにやってください」という感じでした(笑)。というのも、ご主人はクリエーティブ関係の仕事をなさっており、デザイナーを尊重する方だったんですね。「あれこれ言うよりは、任せた方が面白いものができる」と信頼してくださったんです。

 間取りのプランとしては、風呂や洗面所、トイレなど水回りのコアを部屋の真ん中に作り、LDKを広く使うことにしました。コアの周りにフリースペースや書斎、子ども部屋など用途別の空間をちりばめ、それぞれに回遊性を持たせています。個々の空間は小さいのですが、隣の空間を感じられるようにしているので感覚的には狭く感じません。

 それぞれの空間では個性的な素材を使っています。例えば、洗面所の裏にあるフリースペースの床には、OSBという加工木材を塗装した素材。リビングはグレーのフローリングで、木の素材感を出しながら、あえて色味を消してニュートラルにしています。書斎はカーペットで、子ども部屋とキッチンは汚れても大丈夫なタイルです。

 キッチンで一番目立つのは、ダイニングテーブルでしょう。アクリルの天板を3枚重ねて作ったオリジナル。下からピンク、クリア、ブルーという3色を重ね、厚さは3mmほどです。上からは色が重なって紫に見えますが、見る場所によって色が変わるんですよ。これだけ大きいアクリル板を作れる工場は今はなくなってしまったので、もう作れないかもしれませんね。

 水回りを集めた部屋の壁も個性的です。ちょうどリビングのソファ側の壁になっています。これは壁タイルで、ぶつぶつした突起の模様がついているんです。普通は住宅には使わない素材ですが、思い切って使ってみました。どことなく「ゴジラ」っぽい表面で、部屋のアクセントになっています。

 今回は、決まったコンセプトがあったわけではなく、ご夫婦とその都度相談して、感覚的に素材を決めていった感じです。何かを真似たのではなく、やりとりの中でオリジナルのものが生まれた。こういうことができるのもリノベーションの醍醐味ですね。

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PROFILE

石井健(いしい・たけし)

1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。

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