太陽のまちから

1900畳分の太陽光パネル、三浦市の高台に

  • 文 保坂展人
  • 2014年3月4日

写真:太陽光パネルが一面に並ぶ、みうら太陽光発電所(世田谷区提供) 太陽光パネルが一面に並ぶ、みうら太陽光発電所(世田谷区提供)

写真:自然エネルギーの「地域間交流」のモデルケースになれるか(世田谷区提供) 自然エネルギーの「地域間交流」のモデルケースになれるか(世田谷区提供)

写真:吉田英男・三浦市長と協定書を結んだ(世田谷区提供) 吉田英男・三浦市長と協定書を結んだ(世田谷区提供)

 3月1日、私は神奈川県三浦市の高台にある「世田谷区みうら太陽光発電所」に立っていました。曇天だったのが残念でしたが、晴れていれば浦賀水道をはさんで横須賀とフェリーが結ぶ千葉県の浜金谷や保田が一望できます。

 ここは、半世紀前の1964年(昭和39年)から2005年(平成17年)までの間、世田谷区立三浦健康学園として、ぜんそくや身体の弱い子どもたちの学校でした。臨海学校も含めて延べ16万3千人の小学生が訪問しました。世田谷区民にとって思い出深い学園の跡地は太陽光発電所に生まれ変わりました。

 8700m²の土地に、傾斜5度の太陽光パネルが1680枚ずらりと並ぶ光景は壮観でした。畳に換算すると1900畳。合計出力は420kw(キロワット)で、一般家庭130世帯分が1年間で使う電力に相当する43万8800kwを生み出します。

 世田谷区では、この太陽発電所を国際ランド&ディベロップメントに建設・運営してもらい、20年にわたってリース料を支払っていきます。また、競争入札の結果、全量を固定価格より2.5円高く売電します。その収入からリース料を差し引いた収益は年間400万円ほど。それを自然エネルギー普及のための環境セミナーやシンポジウムなどにあてていく予定です。

 詳しくは今年はじめに書いた「東電より2.5円/kw高く売電 世田谷太陽光発電所」(2014年1月7日)をお読みください。

 ところで、発電所でのテープカットを前に、吉田英男・三浦市長、太陽光発電所が立地する南下浦町金田地区の蛭田彰区長らと協定・調印式を行いました。協定では、地震・津波・大規模な火事、その他の災害が発生した時に敷地を避難所として使用することができる▽災害時に太陽光発電所の電源を地元住民に開放して便宜をはかる、としています。協定書への署名後、太陽発電所と非常用電源ボックスの鍵を吉田市長と蛭田区長に引き渡しました。

 三浦市では15年ほど前から、三浦半島の南端近くにある宮川公園で2基の風力による風力発電に取り組んでいます。市内には、し尿・浄化槽汚泥や農水産の残さ物処理をして発電・熱利用・堆肥(たいひ)化などを進めるバイオマスセンターもあります。「世田谷区の太陽光発電所とあわせて、子どもたちの環境学習などでぜひ三浦市を訪れてほしい」と吉田市長は語りました。

 私は3年前に区長に就任して以来、民家の屋根を使った自然エネルギーをつくりだすエネルギーの「地産地消」と、交流のある自治体のエネルギー事業と提携する「地域連携」を二本柱として事業を進めてきました。

「地産地消」でいえば、小田急電鉄が喜多見発電所の稼働を始め、太陽光発電と系統接続している家屋はまもなく4500軒まで増加するそうです。世田谷区内では、太陽光を中心とした発電容量が着実に増えています。

 さらに、みうら太陽光発電所のスタートによって、「地域間連携」も具体的なイメージが浮かんできました。三浦市など交流する自治体のエネルギー事業によって生み出される電力をPPS(新電力=特定規模電気事業者)を使って購入し、区内で供給することで再生可能エネルギーの利用拡大につなげることができるでしょう。そうすれば、電力会社の地域独占を崩す、具体的な道筋が見えてくるはずです。

 2015年には、自動車メーカーがついに一般市場で「燃料電池車」を発売します。まさに「水素・燃料電池」元年となるはずです。再生可能エネルギーを利用した埼玉県庁での実証実験にあるように、太陽光パネルから生み出した電力で水を電気分解して水素を製造する技術は、すでに確立しています。

 やがて、日常生活の中でも感じとれるほどにエネルギー革命の大きな波がやってくると考えています。全国の自治体で風力やバイオマスと組み合わせて熱や電気などのエネルギーを生み出す取り組みとともに、電力の生産地と消費地とをつなぐ仕組みづくりがますます重要だと実感しています。

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PROFILE

保坂展人(ほさか・のぶと)

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03~05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。


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