太陽のまちから

子どもの、子どもによる、子どものための空間

  • 文 保坂展人
  • 2014年3月11日

写真:元金庫室はバンド練習室に変わった(写真はいずれも世田谷区提供)元金庫室はバンド練習室に変わった(写真はいずれも世田谷区提供)

写真:広い部屋に鏡を張れば、ダンススタジオに広い部屋に鏡を張れば、ダンススタジオに

写真:中高生たちが集い、語り、笑いあった中高生たちが集い、語り、笑いあった

写真:オルパの外観オルパの外観

 京王線千歳烏山駅の南口、ホームに面していた金融機関の支店跡地に昨年6月、「中高生世代応援スペース」ができました。名前は「オルパ」。広場を意味するアラビア語の「ムルパ」の発音が「オルパ」と聞こえたことから名づけたのだそうです。オープン以来、中高生が続々と集まってきましたが、当初から9カ月という期間限定での試みだったため、残念ながら2月いっぱいでクローズしています。

 建物は鉄筋コンクリート2階建てで、延べ床面積は360m²。1階はオープンスペースになっていて、おしゃべりしている女の子や、ゲームや卓球をやっている男の子たち。さらには、教科書とノートを広げて宿題をやっている子もいました。

 2階にある元支店長応接室は自習室として、けっこうな人気だったそうです。銀行だから金庫もあります。元金庫は、音の出せるバンド練習室になり、広い部屋の壁にフィルムミラーをはりつけてダンス練習場もできました。

 利用者として登録した中高生は約1千名。延べ利用者は6千5百人にのぼりました。特徴は、このスペースを利用する中高生たちが話し合いを重ねて、ルールをつくり、企画を立てて実現したことにあります。

 私は千歳烏山駅の近くに出向くたび、たびたび顔を出しました。女子高生たちに取り囲まれて、

「あっ、区長。この場所をやめないで下さい」
「私たちが、お金を使わずにこんなに楽しく過ごせる場所はないんです」

 と言われたこともありました。

「最初から2014年2月まで、という約束でスタートしているから延長するのは難しいんだけど、中高生の活動の場はこれからつくっていくから」

 私はそう応じましたが、彼女たちの日常の中でオルパという場がいかに大きな価値をもっているかが伝わってきました。

 さらに、オルパでの実証実験は子どもたち自身の発案によるものだった、ということを紹介しておきたいと思います。

「区長、未来の区の担い手となる中・高校生と話してみませんか?」

2年前、世田谷区の長期ビジョンとなる「基本構想」をめぐる区民との意見交換会を企画していた時、そう声をかけられたのです。

 そのときは、どんな展開になるのか予想もつきませんでしたが、2012年8月に「中高生との意見交換会」は開かれました。25人ほどの参加者から次々と意見が出てきました。

「花火のできる公園がほしい」「中高生が自由に出入りして過ごせる場があったら」「いじめも、身近かにあるけど、相談できる場所がほしい」……。

 私はすっかり聞き役にまわり、まとめのコメントをして会を締めくくりました。

 ところが、その晩、何人かの参加者からメールが届いたのです。

<私たちの話は聞いてもらったけど、区長の考えはほとんど聞けなかった>
<途中で終わったのが残念、続きをやってほしい>

 私はすぐに返信しました。

<今度は時間制限をもうけないで、じっくり話し合う機会をもつことにします>

 それから7カ月後の昨年3月、2回目が実現しました。この日は、これから青少年交流センターとして再出発する「青年の家」に1泊2日で泊まり込んでの合宿形式です。そして、半日かけて、彼らと意見交換をしたのです。そのときの様子は、「中・高校生だって『まちづくり』したい」として、コラム(2013年3月26日) でも紹介しました。

 このとき、地域の廃校舎を活用して、自分たちで運営する「中高校生のための理想の施設」というアイデアが出されました。これに他の提案もミックスして、「銀行跡地のビルを9カ月限定」の「中高生世代応援スペース」にする、という話が具体的に進んでいったのです。未来の担い手たちと、10年後、20年後の「まちづくり」を語ろうと考えた私も驚くスピードでした。

 オルパは、NPO法人「せたがやっこ参画推進パートナーズ(略称「せたさん」)が運営し、世田谷区子ども部若者支援担当課が窓口となっていました。若者支援担当課では、世田谷区野毛で休止中の「青年の家」を改装し、「青少年交流センター」として中高生の活動拠点にしていく計画を描いています。また、区内に25カ所ある児童館に、中高生の活動場所となる「中高生支援館」をいくつかつくっていく予定です。

 子どもの、子どもによる、子どものための空間。そのオルパを運営したNPO法人が現在、報告書をまとめているところだといいます。できあがるのが楽しみです。

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PROFILE

保坂展人(ほさか・のぶと)

1955年、宮城県仙台市生まれ。世田谷区長。高校進学時の内申書をめぐり、16年間の「内申書裁判」をたたかう。教育ジャーナリストを経て、1996年より2009年まで衆議院議員を3期11年(03〜05年除く)務める。2011年4月より現職。『闘う区長』(集英社新書)ほか著書多数。

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