「日本全国 このパンがすごい!」出版記念 パンラボ 池田浩明さんになんでも聞いちゃう!コーナー

ブレッドギーク・池田浩明さんへのご質問、ありがとうございました。
たくさんいただいたギモン・質問を、ぐぐーっと凝縮してお届けします。
では池田さんからの回答を、どうぞ!

初めての店で「この店は良い!」と見極めるために、押さえているパンの種類は何ですか? 例:バゲット、食パン東京都 Eggさん、ビンゴさん、神奈川県 菓子ぱん好きさん、愛知県 さんなんさんほか(同様の質問をたくさんいただきました)

池田さん

 パン屋さんの店名が「ブーランジュリー○○」のようなお店ではバゲット、「○○パン」のような日本的なベーカリーならなるべく食パンを買います(さんなんさんのご慧眼(けいがん)の通りです)。発酵種を自家培養(いわゆる天然酵母)する店ならカンパーニュ(パン・オ・ルヴァン)、ドイツパンのお店ならミッシュブロート(ライ麦と小麦がほぼ半量ずつのパン)あたり。お店を開くとき、まずシェフが根幹として最初に作るであろうパンを味わって、店主の思いについて考えを巡らせます。ただし、旅先では食パン1斤やバゲット1本を持ち運ぶのが困難なので、野菜不足にもならないようにバゲットや食パンを使ったサンドイッチを買います。具材がのっていないところだけちぎってよく味わいます。

 あれこれ買うのは財布にもおなかの具合にもたいへんなので、手っ取り早いのは必ず買うパンを決めることです。クロワッサンだけは必ず買う、クリームパンは必ず買うとか。味の比較とは記憶に関わるものなので、同じパン同士で比べたほうがよりわかりやすいです。クリームパンだけでもいろんな情報があります。クリームはやわらかいか硬いか(やわらかいほうが入れにくく、技が問われる)、多いか少ないか(多いほうが難易度が高いのは同様)、口溶けのよさ(生地とクリームがシンクロするか)、焼き色・つや・ふくらみ・形、匂いはミルキーか卵が勝っているか、甘さのバランスetc…。

 

 何個も食べているうちに味の座標軸ができてきます。そうするといま食べているパンが座標軸のどこにあてはまるかがわかるようになってきます。

おいしいパン屋を見つける嗅覚(きゅうかく)は、どうやって鍛えてますか?東京都 ありんこ4さん

池田さん

  前の質問のつづきになりますが、食べる前にパンを見てどんな味かイメージすることも大事で、楽しいですね。味を外見に結びつけて記憶していくと、見かけだけでもどんな味のパンかなんとなく想像できるようになります。そうなると、雑誌でパンの写真を見てあたりをつけられます。おっしゃるように「嗅覚」も大事です。店に入る前、漂ってくる匂いはとても重要な判断材料になります。

  ただ、上記のことはあくまで「予想」です。パンは食べてみないと本当のところは絶対にわかりません。予断は禁物だと肝に銘じ、なるべくたくさんのパン屋に行ってみたいと思っています。

一日に何個パンを食べますか。太りませんか。ご飯は食べますか?神奈川県 むーさん、京都府 こはたけさん、東京都 かじやんさんほか

一日いくつくらい食べられてますか?愛知県 せっちゃんさん

池田さん

 その日によりますが、たくさん店をまわる日は20個以上のパンをテイスティングすることはあります。ぜんぶ食べきらずに、残ったものは持って帰って家族が食べます。

 太らないのはラッキーだと思っています。車はあまり乗らず電車で動くので、パン屋さんまで歩くことがいいのかもしれません。私が太ってしまうと、パンを食べると太るんだとみんなが考えてしまうので、そうならないようにしたいですね。パンをなるべくおいしく食べられるよう、パンに合う料理を考えたりすると、おのずと栄養バランスも良くなり、太りにくくなっているのではないでしょうか。家ではなるべく丁寧にパンを食べたいと思っています。

最近のパンの高額化には驚くばかりです。(中略)
お店作り(店舗や人件費)が一因なんでしょうか? 材料費でしょうか?(中略)
毎日朝食の為に焼きたてを買いに行けるような、普通のパン屋さんが近くにあるとどんなにうれしいか!
東京都 luneさん

池田さん

 ご指摘には共感します。いまは経済がデフレ基調で、パンに割高感が生じています。パンは二極化が進んでいます。日本人は本物志向になり、パンも高級な素材を使ったパンが人気になっています(円安で材料の値段は上がっています)。一方で、スーパーでは100円以下の食パンが売られ、安さを売り物にするチェーンのベーカリーも増えています。

 そういう大量生産・大量消費のパンと、個人店のパンを単純には比較しないでいただきたいのです。個人店のパンは、職人技を1個1個手で作る一点もののアートです。日常のものでありながらアート、というのがパンのすごさ。1個のパンができるまでどれぐらいの手間がかかっているか知ると、逆にパンは安いなあと思ってしまいます。パン屋さんはパンが日常のものであることを意識し、毎日お店にきてほしいと考えています。でも、材料はいいものを使いたい。良心的なお店はその葛藤の中でぎりぎりの努力をされています。

 また、手間や材料代のかかる総菜パン、菓子パンは高く、バゲットのようなプレーンなパンは割安です。なるべくプレーンなパンを買い、家で自分で作ったお料理と合わせる。また、発酵種を使ったパンなら日持ちがするし、全粒粉を使ったパンは腹持ちがいいので、そういうパンを少しずつスライスしながら日をまたいで食べていくと味の変化もわかって楽しいものです。買い方、食べ方によっても、パンにかける金額は変わってくるかと思います。

パンを人間関係に例えると?
(家族、恋人… みたいな。 食べちゃうけど[笑])
富山県 はっしーさん

池田さん

 以前、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんとラジオで共演させていただいたことがあります。田村さんと、jealkb(ジュアルケービー。田村淳がボーカルを務めるヴィジュアル系バンド)のみなさんがお米派、私がパン派として激論するという企画でした。 「毎日食べられるごはんは結婚相手、ときどき食べたいパンは恋人」と田村さんのサイドから名言が出ました。

 私はこのように反論しました。「パンを燃え上がるように愛して、後先考えない結婚をしてもいいじゃないですか」と。パンは私にとって恋人であり妻なのでしょうか。

普通の食パンのおいしい焼き方と食べ方を教えてください東京都 みーこさん、大阪府 しおさん、愛知県 もんさんほか

池田さん

 質問を短くしてしまいましたが、前半では最近話題の高級なトースターについて触れていました。高級なトースターがすごいのは、誰でもボタンひとつでおいしいトーストが焼けることです。でも、ご家庭にあるオーブントースターであっても、おいしくトーストすることは不可能ではありません。

 食パンの耳をぜんぶ落としてトーストしてみてください。耳は捨てないで、これもいっしょにオーブンに入れてください。中身のほうは、ふわっとしてすばらしい口溶けで一瞬でなくなるようになります。耳も捨てるのがもったいないぐらい香ばしくなります。耳にはシナモンシュガーをふるのもいいですし、長いので、半熟卵の黄身をディップしながら食べるのもいいです(ウフ・ア・ラ・コックといいます)。

 理屈を説明しておくと、耳を落とすことで火通りがよくなり、水分が蒸発することなくパンが焼けるからです。パンは大量の熱で焼いたほうがおいしく焼けます。「石窯パン」がおいしいのと同じです。

 なので、オーブントースターをよく余熱することがひじょうに大事です(説明書に書かれている時間にプラスアルファしてください。高熱注意!)。余熱したら扉を開きパンを置いて、霧吹きで内部に霧を吹きかけ、すぐ扉を閉めてください。すると水蒸気の力でパンの内部まで熱が浸透しやすくなり、逆に耳はぱりっとなります(故障の恐れもあるので自己責任でお願いします)。危ないと思う方は、パンに直接霧をワンプッシュしてください。このとき、霧吹きとパンの距離を離すのがコツです。近いと大きな水滴がかかって、パンがぐちょっとなり、食感が悪くなります。

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