東京コレクション 再び輝くために

  • 2013年5月15日

写真:松井智則さん/アッシュ・ぺー・フランスのエグゼクティブディレクター。1977年生まれ。ブランドPRや展示会を手がける 松井智則さん/アッシュ・ぺー・フランスのエグゼクティブディレクター。1977年生まれ。ブランドPRや展示会を手がける

写真:森永邦彦さん/アンリアレイジのデザイナー。1980年東京生まれ。早稲田大卒業。東京デザイナーのホープのひとり森永邦彦さん/アンリアレイジのデザイナー。1980年東京生まれ。早稲田大卒業。東京デザイナーのホープのひとり

写真:中村豊さん/JFW事務局長。東レから出向し、2013年4月から現職 中村豊さん/JFW事務局長。東レから出向し、2013年4月から現職

 なぜ東京コレクションは、いまひとつ盛り上がらないのか。日本のファッション産業の国際競争力強化を目指して毎年3月と10月に開かれているが、発信力ではいまだパリやミラノなどとの格差は縮まらない。冗長と指摘される日程や商業的な求心力など課題について、3人の関係者に聞いた。

世界に挑む気概が欲しい―松井智則さん

 クリエーティブを武器にした世界戦争が始まっているのに、日本は衣料品の輸入大国のまま。創造的な服作りはあるのに、文化を売って外貨を稼ぐ気概は、既存の組織には感じられない。

 大手アパレルや商社の出身者が事務局を作る日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)はがんばりが「点」にとどまり、世界への発信を広げてこられなかった。外部委員をしている私にも責任があります。

 メディアにも問題があります。広告につながらないこともあって雑誌は東コレを扱わず、新聞も全体を束ねていくような発信ができているとは言えない。

 叫ぶだけだと格好が悪いから、3年前から大規模展示会「ルームスリンク」を、去年から一般人も参加できる「シブヤ ファッションフェスティバル」を始めました。私たちは一つの会社に過ぎませんが、ソウルや台北にも行って展示会をやり、アジアを巻き込もうとしています。

 経済産業省にファッションを扱う「クリエイティブ産業課」もできた。文化を支援してこなかった国に組織ができたということがうれしいし、今こそ変わる機運はあるのだと思います。政治もそうですが、ファッションもムード。大事なものだという思いをみんなで共有して、努力を続けたい。

ビジネスにつなぐ道筋を―森永邦彦さん

 JFW主催のファッションウイーク開催時期に新作のショーを行っていますが、JFWには加入していない。ブランドを設立して11年目。参加を誘われていますが、入るメリットがないのでお断りしています。JFWが現状のままでは、参加してもビジネスにつながらないと思うからです。

 僕は世界で勝負したい。ショーとは本来、商売を拡大するためにやるものなのに、JFWはショーの開催自体に力を入れています。そこから先の、物を売っていく道筋が整備されていないのです。

 そして、JFWは裾野を広げる方を優先していて、デビューしたての新進を支援し、タレントや渋谷109のブランドまで集めている。ショーをしても採算がとれないまま、結局つぶれてしまう若手を大勢見てきました。

 JFWは海外から取材陣やバイヤーを呼ぼうとしてきた。でも、何年やっても人は来ないし売り上げも伸びないなら、東コレをステップにしてアジアや欧米に自ら出ていくしかない。

 日本のデザイナーの強みは、日本でしかできない様々な技術を応用できることです。たとえばアンリアレイジの2013年秋冬物は、紫外線で色が浮き出る科学技術を使い、白い布地に水色や黄色の花柄などが現れる服を作りました。先例が少ない試みなので、技術研究者、糸や染織の専門家と共に取り組んだ。そんな物づくりをしていける環境と地盤が、今の日本にはあると思います。

 1990年代、学生の頃に見た東コレはブランド数も多く、表現も創造的かつ多彩で、まぶしいほど輝いていた。日本のファッションが築いてきた、あのドキドキするような「東コレ」という言葉の響きを、新たなやり方でまた取り戻したい。まずは自力で頑張ります。

海外進出の支援、続けたい―中村豊さん

 ――そもそもなぜ、ファッションウイークを開催するのですか?

 日本の繊維産業・ファッションの国際競争力を強化するのが目的で、特に若手、中堅の育成支援で独自性を出そうとしています。2005年に日本でファッションウイークが始まった時に、経産省の声かけで組織が作られました。現在は政府からの補助金もなく、民で自立しています。

 ――世界で勝負できるブランドを集中的に見せる日程にするなど、海外から人を呼ぶ工夫に乏しいのでは?

 以前は1カ月以上にわたってばらばらにショーが開かれていたことを考えると、集中は進んできています。パリなどの四大コレクションに比べれば、地理的なハンディや会期が遅いという条件がありますが、海外に出て行ける人を後押しする日程を組む努力や海外での展示会は続けていきたい。

 ――既存の顧客が集まりやすい夜間の開催が多く、外に見せるよりも、内向きで「ファン感謝デー」になっているブランドが少なくない。

 日程はデザイナーの希望を尊重しますが、時に主張を抑える調整はしています。マーケットとしてのアジアが注目される中、アジアにおけるファッションの発信拠点は東京にしたいと考えています。

(聞き手:松井智則さん・中村豊さんは中島耕太郎、森永邦彦さんは編集委員・高橋牧子)

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