【動画】胃がん検診について、新潟県立がんセンター新潟病院・成沢林太郎医師の解説です

 ピロリ菌の感染と胃がんのリスクに関して、胃がんになった患者さんの90~99%はピロリ感染者とされています。ピロリ菌に感染していない人が胃がんを発症するケースは、やはり少ないです。一方、ピロリ菌に感染している人が一生の間に胃がんにかかる確率は、2%弱といわれます。

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 「ピロリ菌が陽性だと必ず胃がんになるのでは」と思われるかも知れませんが、実際には、感染していても胃がんになるのは50人に1人以下ということになります。

 ただ、ピロリ菌の感染が胃がんのリスク要因の一つであることは間違いありませんので、ピロリ菌陽性の方はとりわけ、同様に胃がんのリスク要因である塩分やお酒のとりすぎなどに気をつけていただきたいと思います。また、陽性の方は一度、内視鏡を受けていただくことをおすすめします。ピロリ菌が陽性で、内視鏡で明らかな胃炎があれば、保険診療でピロリ菌の除菌を受けることができます。

 胃がん検診に関して、いまのところ、ピロリ菌関係で死亡率減少のエビデンス(科学的根拠)が確認されたものはありません。

 いま、一部の自治体では、「ABC検診」というものを実施しています。ピロリ菌感染の有無と、「ペプシノゲン」という酵素で胃炎による萎縮の程度をみて、それぞれの組み合わせでリスクがどれくらいかを3つのグループに分けようというものです。Aが最もリスクが低く、B、Cとなるごとにリスクは上がっていきます。そのリスクに応じて、検診を受ける間隔を変えたりしています。ただ、この方法についても、検診を受けることによる死亡率減少効果は確認されていません。従って、厚生労働省のがん検診にかかわる指針でも推奨の対象にはなっていません。

 検査でピロリ菌が見つかるなどして、除菌がうまくできたとしても、「もう胃がんにはならないから検診を受けなくていい」ということにはなりません。ピロリ菌がいなくなっても、それまでの菌の影響によって、胃がんリスクはゼロにはならないのです。やはり定期的に検診は受けていただきたいと思います。

<アピタル:インタビュー・アピタルがんインタビュー> http://www.asahi.com/apital/channel/interview/

田村建二

田村建二(たむら・けんじ) 朝日新聞編集委員

1993年朝日新聞入社。福井支局、京都支局、東京本社科学部、大阪本社科学医療部次長、アピタル編集長などを経て、2016年5月から編集委員。