67歳の女性。尿路感染症にかかりやすく、ここ数年、毎年のように膀胱炎になってしまいます。今年は7月から9月にかけて3カ月連続でかかりました。抗生剤を飲むと数日で症状はおさまるのですが、不快で憂鬱です。(東京都・N)

 【答える人】青木九里(あおき・くり)さん 東邦大学医療センター大森病院講師(泌尿器科)=東京都大田区

Question膀胱炎の症状とはどんなものですか。

Answer主な症状は、何度もトイレに行きたくなる、排尿が終わるときに痛みが出る、尿が白濁したり血が混ざったりする-ーなどです。急性膀胱炎は、細菌が体外から尿道を通って膀胱へ入り、膀胱の粘膜に炎症が起きる病気です。女性は、尿道が4~5センチと男性に比べて短いため、細菌が膀胱に届きやすく、一生に一度は経験するといわれます。

Question相談者は、閉経後にかかりやすくなったそうです。

Answer閉経前の女性は、膣内にデーデルライン桿菌という細菌がいて、膣内を酸性に保ち、ほかの細菌の繁殖を防いでくれています。閉経すると、この菌がいなくなり、膣内の病原性のある細菌が尿道から膀胱内に流れ込み、感染や炎症を招くのです。

Questionかかりやすい季節はあるのですか。

Answer汗をかきやすい夏に患者が増える傾向があります。汗をかき、尿の量が少なくなることで、膀胱内に入った細菌を尿が洗い流してくれる回数が減るためと考えられます。また、季節的に細菌が繁殖しやすくなることも原因と思われます。

Question治療法は。

Answer抗生剤を使います。痛みがおさまっても、医師の指示に従って薬を飲んで下さい。

Question予防のために気をつけることはありますか。

Answer水分を多めにとりましょう。排尿回数や尿の量が多ければ、細菌が尿と一緒に体外に出ていきます。また、排尿や排便後は、細菌が尿道口や膣に入り込まないように、体の前側から後ろ側へ拭くなど、衛生面でも気をつけてください。

予防のための8カ条と、やっかいな間質性膀胱炎

 今回は「急性単純性膀胱炎」をテーマに取り上げました。膀胱炎のなかで最も一般的なものです。

 東邦大学医療センター大森病院の青木九里講師によると、かつては性的活動期に入った20代の女性患者の割合が多かったが、いまは50~70代の閉経後の女性にも目立ってきたといいます。デーデルライン桿菌の消失が影響しているとみられます。

 予防のための8カ条を教えてもらいました。

 (1)水分を多めにとる(1日の尿量は1~1・5リットルが理想)

 (2)尿を我慢しすぎない(膀胱内に尿が長い時間たまると、細菌が増殖しやすい)

 (3)便秘や下痢に注意する(病原性大腸菌を増殖させない)

 (4)性行為の後は排尿する(細菌が尿道から膀胱へ入り込む恐れがある)

 (5)下半身(腰回り)を冷やさない

 (6)排尿・排便の後は、体の前側から後ろ側へ拭くことを徹底する

 (7)温水洗浄便座をなるべく使わないようにする

 (8)疲労やストレスをためない(免疫力の低下は細菌感染のもとになる)

 一方、間質性膀胱炎という病気もあります。膀胱粘膜の層が壊れてしまう原因不明の病気で、頻尿(トイレ回数が多い)▽尿意が強まる▽膀胱の痛みなどの症状が出ます。急性の膀胱炎と異なり、尿がたまってくると痛みが強くなり、排尿すると痛みが軽くなります。

 治療法はまだ確立されておらず、対症療法が中心です。熟成チーズや大豆、唐辛子といった刺激物など、控えるべき食材も多くあります。日本では最近まで「極めて患者が少ない病気」と思われてきましたが、注意が必要です。

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