2歳の孫娘。極度の人見知りで、前方から人が来ると顔を伏せて親に抱き着き、動きません。保育園でも先生から離れないようです。家では父母と普通の生活をし、会話や行動に問題はありません。精神的な疾患を疑った方がいいでしょうか。(埼玉県・S)

 【答える人】 金生由紀子(かのうゆきこ)さん 東京大学病院こころの発達診療部長(児童精神医学)=東京都文京区

Question何が考えられますか。

Answer一般的に、幼児は生後7カ月ごろから見知らぬ人への用心深さ、いわゆる「人見知り」を見せます。2、3歳ごろまでに親への愛着関係を築き、それを土台に知らない人がいる外の世界に出て行こうとしますが、このプロセスがスムーズに行かない場合もあります。孫娘さんはこのケースだと考えられます。

Questionどんな態度で接すればいいのでしょうか。

Answerまず、親との信頼関係を確立するように、周囲が孫娘さんの気持ちを理解しようとする姿勢が大切です。「その子なりのペースでいい」と気長に待つことです。無理に知らない人の間に連れて行くなど苦手なことを強いることは避けましょう。信頼関係を大切にしつつ、自信を持てるようにして、自分なりに気持ちを表現しやすくします。

Question病院などに相談したほうがいいでしょうか。

Answer今のところ必要ないでしょう。ただ、成長とともに自閉スペクトラム症などの発達障害が疑われることもあります。保育園や学校など特定の場面で話せなくなる選択性緘黙(かんもく)(場面緘黙)になることもあります。発達障害であれば、本人の特性に合わせて、できるだけ早く発達を支援することが望まれます。

Question見極めのポイントは。

Answer年齢に応じたコミュニケーション能力や適応能力がかぎになります。親の言葉が理解できるか、自分の意思を伝えられるか、周りの状況に合わせて行動できるか、などです。保育園や幼稚園の先生、地域の保健師らと情報を共有するとよいと思います。過度に心配せずに愛情をもって接しつつ、注意深く見守るという姿勢が求められます。

孤独にならず早めの相談を

 なかなか言葉を話さない。人見知りが激しい。ときどき突拍子もない行動をする。そんな子どもを抱える親の心配は、ときに想像を絶するようです。精神的に衰弱し、親自身が精神的に参ってしまうことも珍しくないと言います。

 今回の「どうしました」に登場いただいた東京大学病院こころの発達診療部の金生(か・の・う)由紀子部長によると、最近は、インターネットでいろいろな情報に簡単にアクセスできるため、どんどんと悪い方向に考えて、一人で悩み込む親が増える傾向にあるようです。

 ひと昔前までは、「精神科を受診する」ことに関して、世間体などを気にして躊躇(ちゅう・ちょ)する親が多かったようですが、金生さんは言います。

 「現在の児童精神医学は、幼児の精神的な疾患にはできるだけ早く手を差し伸べたほうがいいという考え方になってきています。孤独にならず、まず、誰かに相談してください。医師でもいいし、地域の保健師でも、保育園の先生でもいいんです」

 子どもの成長には個人差があります。「その子なりのペースでやっていけばいいよ」と気長に待つことも大切です。一方、その裏に見逃してはならない疾患が隠されている場合があることも知っておかなければなりません。

 相談する相手が見つからない場合は、東京大学病院こころの発達診療部のホームページ(http://kokoro.umin.jp/)を参考にしてください。今回の「どうしました」で触れた選択性緘黙(かん・もく)(場面緘黙)については、当事者や家族らでつくる「かんもくの会」(http://asmjapan.org/)のサイトがあります。場面緘黙の子は周りにあまり迷惑をかけないので放置されがちですが、本人は心の内でとても苦しい思いをしているといいます。

 金生さんはアドバイスします。

 「親御さんの精神的なつらさは大変だと思います。しかし、成長してからお子さんが精神的な疾患と診断され、『もっと早く治療していればよかった』と後悔したとき、いちばんつらいのはお子さん自身です」

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<アピタル:どうしました・子ども>
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