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勝算あり【くらしを支える】

いいじ里山バス(岐阜県恵那市)

写真:路線バス(右)から、待機していた里山バスに乗り換える館林イソ子さん=岐阜県恵那市の恵那北中学校前 拡大路線バス(右)から、待機していた里山バスに乗り換える館林イソ子さん=岐阜県恵那市の恵那北中学校前

写真: 拡大

●集落の足 自分たちで運営

岐阜県恵那市の山あい。10人乗りのワゴン車がすれ違いも難しい道を上っていく。車は「いいじ里山バス」。木曽川沿いの恵那北中学校前から標高600メートルの同市飯地(いいじ)町の集落まで最長12キロを結ぶ。

 取材した10月下旬。恵那北中前で里山バスに乗ったのは館林イソ子さん(82)。週3回ほど通うジムからの帰りという。ジムのある市中心部から路線バスに乗り、ここで里山バスに乗り換える。

 館林さんは約11キロ先の自宅前に着くと、運転手に「ありがとね」。荷物を手に降りていった。

 実は、運転手の保母督宝(まさとみ)さん(64)も飯地町の住人だ。館林さんとも顔見知りで、バス停ではなく家まで連れて行ってくれる。

●運転手も住民が

 里山バスの最大の特徴は、運営がバス会社でも自治体でもなく、地元住民組織であることだ。

 運転手も全員地元の人だ。退職者ら13人が日替わりで担当する。集落からの上り2便は予約者の家に迎えに行き、恵那北中で路線バスに乗り継いでもらう。下り4便は恵那北中で路線バス到着を待ち、乗客を家まで運ぶ。

 運行開始は昨年10月。それまでは民間会社が平日上下5便を走らせていた。利用者は1日2、3人。市が赤字を補填(ほ・てん)していたが、数年前に撤退が持ち上がった。

 人口637人(今月1日現在)の集落は高齢化も進む。バスは貴重な足だ。「このままでは地域が消えてしまう」。住民組織の平井一兵会長(72)はそう心配し、路線バス撤退後の対応について住民同士で話し合いを続けた。

 追い風は国の規制緩和だった。従来もバスやタクシーのない地域では白ナンバーの一般車両が有償で住民を運べたが、運営主体には法人格が必要。これが2015年4月の国土交通省令改正で、法人格のない住民団体にも認められるようになった。

●路線バスと連携

 「恵那北中まで出れば、路線バスに乗り換えて市街地に出られる」。平井さんらはバス運行を決意し、運転手も募った。協議の結果、市はワゴン車(約400万円)を用意し、補助金で運転手の報酬を負担することになった。

 運行本数は、路線バスが走っていた頃と大差ないが、ダイヤは実用的に。土日の下り最終便は、午後4時41分発が6時2分発になった。看護師下川千穂さん(44)は「中2の次女が部活帰りに利用します。長女の時は友達のお母さんと交代で迎えに行った。迎えが要らないのは助かります」。

 市の負担総額も減った。里山バスへの補助は年約300万円。現在も通学バスを運行するバス会社への赤字補填は、年1700万円から660万円になった。

 加藤博和・名古屋大大学院教授(公共交通政策)は「過疎地が路線バスだけで地域の足を維持するのは難しい。住民自らタクシー的なサービスを行う例はあるが、路線バスと連携して利便性を高めた点が珍しい」と話す。(吉野慶祐)

■いいじ里山バス 

飯地地域自治区運営委員会が運行している。飯地町内の移動は片道100円。地区中心部から約8キロの恵那北中までは片道300円、約16キロ先の恵那駅まで民間バスを乗り継ぐ場合は同500円。地区外の人も利用できる。運行開始1年間の利用者は延べ1679人、1日平均4・6人。

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