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2016 参院選【あすを選ぶ】

上)生活の権利

写真: 拡大

写真:平日の夜、帰宅した女子生徒(手前)が台所の机で漢字の勉強をしていた。母が、娘の手元をのぞく 拡大平日の夜、帰宅した女子生徒(手前)が台所の机で漢字の勉強をしていた。母が、娘の手元をのぞく

◆困窮家庭の子 頼りは自分

 理不尽だなとか思うけど

 東葛地域の高校1年生の女子生徒は、母親(46)と中学生の弟の3人で暮らす。母親は数年前、夫のDVから逃れ、子どもたちを連れて県外から来た。「最初は外にでるのが怖くて。男の人が怖くて」と話す母親はうつ病と診断され、家族は生活保護を受給して暮らす。母親は、介護の資格を取って働くことを目標にする。

 女子生徒は高校受験時、塾には行かず、ボランティアによる無料勉強会に通った。塾に行く友達に頼んで、分からないことを講師に聞いてもらったこともあった。公立高校のみを受験し、合格。それでも制服などの準備のため、母親は金を借りてしのいだ。

 女子生徒は「世界で人の役に立ちたい」と看護師を目指しており、高校卒業後も進学を希望する。母親は「子どもたちに、自分の好きなことをして欲しい。夫の所にいたら、好きなことをさせられなかった」と話しながら、「進学の金銭的な不安を考え出すと……。何とかなると思うようにしている」とも口にする。

 女子生徒は「奨学金を使って看護の学校に進学したい」と考えている。進学に関する自身の状況について、「理不尽だなとか思うけど、力を試してみようと思う」と話す。

     □

 県立高校3年生の男子生徒は、NPO法人ウィーズ(船橋市)の学習支援に通う。

 男子生徒は教員を志し、大学進学を希望している。中学生の時に出会った幕末が舞台の漫画をきっかけに歴史にはまり、「史実を面白く伝えたい」と教員を目指すようになった。

 しかし、「家の経済状況は苦しい」という。高校1年から飲食のアルバイトを始め、稼いだ金で塾に通った。しかし、バイト先はテスト前も関係なくシフトが入る「ブラックだった」。今は週1回の別のバイトにし、塾よりも金銭負担が少ない学習支援を利用する。男子生徒は「ツイッターで『何買った』『コンサート行った』とかいう人を見ると……。嫉妬かなあ」と話す。

 私学に進むのか、国立大を目指すのか、奨学金か教育ローンか。どの選択にもリスクが伴うと感じている。「何かがおかしいけど、自分で打破するしかない」

     □

 厚生労働省の調査では、子ども(17歳以下)の貧困率は16・3%(2012年)となっている。貧困率とは、世帯の手取り収入から国民一人一人の手取り収入を試算し、その額を低い方から順番に並べた時に、中央値の半分(2012年は122万円)を下回る人の割合だ。子どもの貧困率は、1985年の10・9%から増加傾向にある。

 男子生徒が通うウィーズの光本歩副理事長は、学習支援に取り組む理由を「『自分で勉強すればいい』という人もいるかもしれない。しかし、高校生になって『負担が少ない公立へ』と言われても、基礎学力がなく塾にも行けないと、学力が補われず間に合わない」と話す。「給付型奨学金制度が充実しても全員がもらえるとは考えにくく、制度を希望する人は学力が必要になる。小学校高学年くらいから、家庭の経済状況を知って今後の可能性を考える仕組みが必要だ」と指摘する。

  ◇  ◆  ◇

 今回の参院選では、憲法改正の国会発議に必要な3分の2の議席をめぐる攻防も焦点だ。子どもの貧困や格差拡大を指摘する声が広がる中、憲法条が保障する生存権が見つめ直されている。「健康で文化的な最低限度の生活」について、3回にわたって考える。

(この連載は湊彬子が担当します)

    □

第25条

 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

 2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 県弁護士会憲法問題特別委員会委員長の植竹和弘弁護士の話 憲法条は健康で文化的な生活ができることを宣言している。文化的とは、ただ食べて生きていければいいというものではない。ものを考え、議論し、意見を表明する。そういう人間として成長するために国の教育整備が必要だ。その基礎に25条はなっている。

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