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北九州、暮らしやすさPR 

写真:BEENOSのオフィス。東京のオフィスとテレビ会議でやりとりできる=北九州市小倉北区 拡大BEENOSのオフィス。東京のオフィスとテレビ会議でやりとりできる=北九州市小倉北区

写真:北九州市内の刑法犯認知件数の推移 拡大北九州市内の刑法犯認知件数の推移

 ■東京の2社、本社機能一部移転

 北九州市に今月、東京に本社を置く2社が「暮らしやすさ」に着目し、本社機能の一部を移した。同市では暴力団犯罪が相次いだことから治安が悪いイメージもあるが、市は近年の治安改善を機に移住者を増やそうと躍起だ。だが、人口減少に歯止めをかけるには、課題も残る。

 東京から北九州市小倉北区へ本社機能を移したのは化学・建材商社の新ケミカル商事(千代田区、和久田茂彦社長)と、電子商取引大手のBEENOS(品川区、直井聖太社長)。

 新ケミカル商事は管理部門の半数を移し、採用活動の軸足も同市に置く。BEENOSはブランド品宅配買い取り事業「ブランディア」をグループで展開することでも知られる東証一部上場企業。今回は法務など一部機能を移した。

 新ケミカル商事は大企業がひしめく東京での人材獲得競争を避けるために移転したという。上田哲則会長は「首都圏と比べてマンションが安く通勤時間も短い」と述べ、暮らしやすさも利点に挙げた。

 BEENOSの直井社長も「北九州は大都市ではないが人口が多い。環境が悪いイメージもあったが、訪れてみるとクリーン。交通インフラが整っていて生活がしやすい」と語る。

 同市は財政的に豊かな時代に病院や公共施設、空港、高速道路網が整備され、都市基盤は比較的充実している。

 自ら希望して東京から北九州に移ってきたBEENOSの小田信二さん(30)も、暮らしやすさを実感する。以前は片道1時間半ほどかかっていた通勤時間が25分に減った。家賃はほぼ同じでも、間取りを含め東京の住居と比べ大幅にグレードアップしたという。「東京より暮らしやすい」

 市は暮らしやすさをPRして企業誘致をしようと、JR小倉駅近くに起業家向けのオフィスも整備。企業立地支援課は「今回の2社以外にも、年内に進出を検討している会社は数社ある。成長力のあるIT企業を呼び込み、次の基幹産業に育てたい」と意気込む。

 ■「頂上作戦」奏功

 首都圏の企業から暮らしやすい街とみられるようになった背景には、市の治安の改善がある。

 市内の刑法犯認知件数はピークだった2002年、4万389件を数えた。件数の多さだけでなく、指定暴力団工藤会による市民を狙った犯罪がイメージを大きく悪化させた。03年8月には組員が手投げ弾を使ってクラブを襲撃。従業員ら11人が重軽傷を負った。その後も市民を狙った事件が繰り返され、12年には住宅街の倉庫でロケット砲が見つかる事件もあり、ネットでは「修羅の国」と揶揄(やゆ)されることもあった。

 市もイメージ回復に努めたが「頑張っても工藤会による事件でイメージがドンと下がる。その繰り返しで治安の悪い街というイメージが定着した」(日々谷健司安全・安心推進課長)。

 しかし、認知件数は02年をピークに減り、16年は8124件まで減った。減少率は79・9%で全国の65・1%を上回った。「政令指定都市で減少率はトップ」(日々谷課長)だ。

 暴力団が市民をねらったとみられる凶悪事件も2014年9月以降、起きていない。県警が工藤会最高幹部を逮捕する「頂上作戦」を始めた効果もあるとみられる。県警による工藤会系組員の検挙は昨年9月末現在で276人に上る。最高幹部らの裁判は長期化が予想され、離脱者が相次ぎ、弱体化が進んでいるとみられる。

 県警の国本正春・北九州地区暴力団犯罪捜査課長は「ヤクザが徒党を組んで歩くことはなくなった。安全な街になった」と話す。

 ■教育面には課題

 一方で、子育て世代が重視する教育面には課題が残る。全国学力調査では、北九州市は小中学校とも全科目で全国平均を下回る。学習状況にも生徒間で格差がみられる。全国学習状況調査では、平日に学校の授業以外の勉強を「全くやっていない」と答えた割合は小6で5・3%(全国平均2・9%)、中3で12%(同4・9%)だった。

 学校での体罰も多い。今年1月には市立小学校で20代の男性教諭が6年生の男児の顔を蹴って鼻の骨を折る重傷を負わせる事件が起きた。文部科学省による体罰の実態把握調査(2016年度)によると北九州市は24件で、都道府県・指定市別で67自治体中8位。指定市だけでみても、人口が3倍近い大阪市の48件に次ぐ2番目の多さだ。

 暮らしやすさを支える都市基盤も老朽化が進む。3月27日、下水道管の腐食が原因で門司区の道路が陥没した。モノレールや市営住宅で外壁の破片の落下、プールなどの天井の落下、照明灯が腐食で倒れるなどの事故も相次ぐ。厳しい財政状況の中、補修が追いついていないのが現状だ。

 市は公共施設の削減を進め、施設利用料の値上げ方針も決めた。現在は充実した都市基盤が移住ガイド本で高評価を受けるが、人口減少で税収減が続けば都市基盤の維持は難しくなり、評価が下がる恐れがある。

 北橋健治市長は早急に人口減少に歯止めをかける必要があるとして、「石にかじりついてでも、人口の社会動態を一刻も早くプラスに持っていきたい」と語る。(井石栄司)

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