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海峡往来真発見

恵まれた韓国の映画教育 成川彩

写真:映画音楽の作曲をする姜茶恵さん 拡大映画音楽の作曲をする姜茶恵さん

写真:成川彩さん 拡大成川彩さん

 ◇韓国・東国大大学院生 成川彩

 今年のカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した「万引き家族」の是枝裕和監督は、毎年秋に開かれる釜山国際映画祭の常連でもある。

 「監督もスタッフも観客も、とにかく若くて活気がある」。是枝監督が語る釜山映画祭の魅力だ。

 韓国では映画産業が急速に発展してきた2000年代、全国の大学に映画・演劇関連の学科が設けられた。その成果か、確かに日本に比べて映画人が若い。映画祭で見る学生監督作品のレベルの高さに驚かされることも多い。

 私がソウルの東国大学映画映像学科に留学した理由の一つは、映画を学ぶ学生たちの実態に興味があったからだ。全国50以上の映画・演劇関連の学科がひしめく中で、東国大学はトップを争う人気校。学部生の多くは監督や撮影など現場を目指している。

 私は修士課程だが、学部時代の専攻が映画でなかったため、学部の授業も受けている。今期の「韓国映画史」の授業は、主に1年生対象だ。グループで発表の準備をする中で、久々に10代の友達ができた。

 大学生になって間もない映画人の卵たちの話によると、すでに映画制作を始めているという。入学早々、同期十数人で制作チームを立ち上げた。授業とは別に自主的に活動し、2カ月に1本のペースで作っていくという。

 出演は、演技を専門的に学ぶ演劇学部の学生に無償でお願いする。「お互い勉強なので」。制作費は主に機材のレンタル費で、メンバーが出し合う。企業から制作費をもらい、フェイスブックなどにアップする広告映像を作ることもあるという。企業も学生もウィンウィンの仕組みだ。

 中学1年生の時から作曲を学んできた姜茶恵(カンダヘ)さん(19)は、音楽担当。シナリオからイメージを膨らませ、オリジナルの曲をつける。

 映像音楽に目覚めたのは、テレビのCMがきっかけだった。映像と音楽のコラボレーションが生む力に魅了された。「今の時代、境界はない。映画もドラマもCMもやってみたい。卒業までに、シナリオも監督も音楽も編集も全部自分でやる作品を作るつもり」。演技の授業も受けている。「演出するには演技もできないと」。まぶし過ぎるほど貪欲(どんよく)だ。

 一方、助監督を務める朴潤洙(パクユンス)さん(18)は、映画評論に興味があって入ったが、制作のおもしろさを知った。「今は監督志望。日本の園子温監督みたいな刺激的な作品を作りたい」と言う。

 両親が教師で、自身も高校2年生まで教師志望だったが、「ラ・ラ・ランド」の評論を読み、変わった。「ただのラブストーリーと思って見たのに、自分と全然違う視点で分析していた」

 両親を粘り強く説得し、受験した。「険しい道というのは分かっているし、周りに後れを取っている不安もある」。アラフォー留学生の私は「10代で何も遅くないよ」と笑ってしまった。

 日本の若手映画人からは「実践的に映画を学ぶ場が少ない」と聞く。韓国の恵まれた環境と激しい競争を見聞きするにつけ、日本は韓国の映画教育に学ぶことがあるのではと感じる。

 (次回の筆者は韓国料理ライターの八田靖史さん。16日の掲載を予定しています)

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