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海峡往来真発見

温泉異文化、行くなら昼 黒田福美

写真:温泉でアジュンマたちと裸の付き合い 拡大温泉でアジュンマたちと裸の付き合い

写真:黒田福美さん 拡大黒田福美さん

 ◇俳優・黒田福美

 「韓国の温泉って、どうなんですか」と、よく聞かれる。

 日本人なら誰でも一度は「韓国の温泉旅」などはいかがかと思うことだろう。その前に日韓での風呂に対する意識を考えてみよう。

 朝鮮時代の建物には風呂場はなかった。貴族階級の両班(ヤンバン)たちでさえ着物から出ている手足や首、顔といったところしか洗う習慣がなかったそうだ。現在でもマンションの浴室から無用の浴槽を撤去する人は珍しくないという。

 1988年、私はオリンピックに湧くソウルを定期リポートするために、梨花女子大前に下宿を1部屋借りていた。

 日本に比べて湿度が低いせいか、家の中や日陰にいれば過ごしやすく、団扇(うちわ)ひとつあれば十分に暑さがしのげた。

 その家の家人と数人の下宿人がいたが、その家にも浴槽はなかった。

 当時、一般庶民の家屋にはほとんど浴室などなかった。その代わりコンクリ敷きの水場があって、白菜漬けのような台所仕事から、洗濯や洗面、洗髪などはそこで済ませた。

 他の人は平気なのに、日本人の私はいくら夏といえども、冷たい水で頭を洗うのは到底できなかった。

 当時、庶民が銭湯で沐浴(もくよく)するのは1週間に1度くらいが普通だった。

 しかし、そうなると沐浴は一種の「イベント」になる。今でいえば私たちがたまにスーパー銭湯に出かけるような感覚だろう。

 風呂屋はたいてい朝6時前から開店する。街の銭湯である「サウナ湯」には男湯・女湯ともにアカスリをしてくれる人がいて、靴磨きや男湯には散髪コーナーさえある。売店も充実しており、人々は昼寝などしながら何時間も過ごす。

 その代わり、夜は早く店じまいをする。7時ごろには桶(おけ)などを片付け始め、8時には仕舞う。「お風呂は寝しなに」と思っていた私はいつも最後の客だったし、風呂屋の主人も毎晩通って「烏(からす)の行水」をしてゆく私を不思議に思っていただろう。

 いまでこそ「チムジルパン」などといって、マッサージや様々な施術、食堂も兼ね備えた24時間営業の風呂屋もあるが、そんな施設の登場はここ二十数年のことだ。しかもこのような施設は地方には数少ない。

 日本人はひなびた宿や露天風呂の風情を楽しむ。夕食はその地でとれたものでこしらえた丁寧な料理を地酒とともに味わう。そんな静かな時間の流れを温泉旅行に求めるものだが、残念ながら韓国にそれはない。

 だからこそ情緒ある日本の温泉は韓国人に人気なのだろう。

 もしも韓国の温泉を楽しむなら、いっそ昼の時間を贅沢(ぜいたく)につかって、アジュンマ(おばさん)たちと裸の付き合いをしながら、日本とは全く違った沐浴文化を体感してみるのが面白いかもしれない。

 (7月は休載します。次回は8月4日掲載予定です。筆者は韓国・東国大大学院生の成川彩さんです)

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