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みちのくワイド

臨災FM局 存続は

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 ●「避難中必要」「5年が節目」/3県9局 予算編成期前に将来模索

 東日本大震災のあと、被災地に地域情報を流してきた市町の臨時災害FM局。福島、宮城、岩手の3県で今なお9局が放送中だ。来年度も続けるか、震災5年の節目で閉局するか、常設のコミュニティーFMに移行するか。国の補助にいつまでも頼れず、予算編成期を前に決断を迫られている。全局を訪ねた。

 ●「自主制作」奮闘も

 福島県郡山市の仮設住宅。東京電力福島第一原発に近い富岡町から避難した人々が暮らす。その中に「おだがいさまFM」のスタジオがある。

 「あ、ははは」。パーソナリティー、吉田恵子さんの笑い声が響く。本人から聞いた逸話を思い出した。「放送を始めてまもなく、スタジオ内外が笑いで包まれた瞬間がありました。みんな笑いたかったんですよ」

 この日の番組を終えて「避難生活が続いている限りは、臨時災害状態は終わっていません。このラジオと一緒に私たちは富岡に帰ります」ときっぱり。

 全国に散らばった町民が番組をネットで聞けるよう、町はタブレット端末を配った。仕掛けた菅野利行産業振興課長(58)が言う。「ラジオは、リアルタイムで町民がつながる。絶対に続けるべきだと思います」

 福島のもう1局、南相馬市の「ひばりエフエム」はどうか。

 市危機管理課は「続けるか未定」としつつ、「国の補助が厳しい情勢で、5年が区切りという考え方もある」。局のチーフディレクター、今野聡さん(45)は「避難指示が解除されても、そこからがスタート。ラジオはまだまだ必要」と訴える。

 宮城県山元町の「りんごラジオ」は、災害局のモデルのような存在だ。元東北放送アナウンサーの高橋厚さん(73)が主導し、自主制作を貫いている。その高橋さんが昨年末、脳卒中で倒れ、局の存続が危ぶまれた。

 妻の真理子さん(66)たちが穴を埋めている間に、高橋さんはリハビリに努めて復活。独特の低い声で意欲を語る。

 「体調はまだ完璧ではないが、高台に移るJR駅を中心に街づくりをする大事な時期。あと1年は頑張りたい」。町も「存続の方向で検討中」だ。

 ●厳しい常設局移行

 対照的なのが、隣の亘理町の「FMあおぞら」。NPO法人を設立し、コミュニティーFMへの移行をめざして放送を続けてきたが、情勢は厳しい。

 コミュニティーFMは災害局より規制がきつく、番組審議会も置く。災害局なら免除される音楽著作権料もかかるなど、スポンサーの支えが不可欠だ。

 町企画財政課は「近隣にも当たったが、企業の反応は鈍い。国の緊急雇用制度も打ち切りが見込まれる中で、放送も5年で区切り」とする。NPOの吉田圭代表(55)は「町の未来を考えると、町民をつなぐ緊密な情報発信が欠かせない。ラジオの必要性を認め、考え直してほしい」とあきらめてはいない。

 三陸沿岸の5局はどうか。

 女川町と釜石市は「未定」。陸前高田市は「継続の予定」。気仙沼市は、コミュニティーFMに移行する予定。「災害局の免許は3月で切れるから、4月に移行できるようにしたい」と日下開商工課長は話す。

 大槌町は先月末、復興計画の見直しの一つとして、臨時災害局の廃止を町議会に提案した。局を運営するNPO法人の小向幹雄代表(80)は「私たちは継続したい。国の補助がないのなら、ボランティアででも、何とか放送免許がほしい」と言う。

 免許を出す総務省東北総合通信局の錦部政朋放送課長(59)は、宮城県南三陸町の出身だ。

 「続けるかどうか、すべて市町の判断。12月中に意向を確認したうえで、淡々と免許の処理をさせてもらう。コミュニティーFMに移行したい局は、迅速に開局をフォローします」

 総務省にとっても、災害局がこんなに長く続くのは初の経験だ。例えば茨城県常総市の

「常総災害FM」は先月末、放送を終えた。水害後に開局して2カ月半。阪神大震災や新潟の中越地震も、1〜3カ月だった。

 東日本大震災がいかに大きな災害だったかを物語る。それでも「臨時」である以上、ずっと続けるわけにいかない。どこで打ち切るか。それぞれの事情に合わせ、住民の声を聞きながら決めていくしかないだろう。

 新潟県長岡市のコミュニティーFM「FMながおか」の脇屋雄介社長(69)は中越地震などの体験から、東北を支援し続けてきた。こうエールを送る。

 「局によって温度差はあるが、地域ラジオの力を証明してくれた。終わる局には『お疲れ様』と言いたい。続けるか、コミュニティーFMに移る局は、頑張っていただきたい」

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