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酒よ【高く、高く】

(15)思い通りのストレート「特純」

写真:十四代の造り手、高木顕統さん=山形県村山市 拡大十四代の造り手、高木顕統さん=山形県村山市

 やがて地酒の両巨頭となる2人の造り手が初めて会ったのは2001年、山形市の飲食店だった。

 「十四代」の高木顕統(47)と「飛露喜」の廣木健司(48)。国内に約1800ある蔵の中で、10年以上も「頂」に君臨する40代はこの2人しかいない。

 引き合わせたのは高木の盟友で、郡山市にある酒販店「泉屋」2代目の佐藤広隆(47)。全国の蔵が驚愕する十四代のような酒を、地元・福島でも育てたかった。

 その8年前の十四代の登場は廣木にとっても衝撃だった。「老練な杜氏でなくとも市場を振り向かせる酒が造れるのか」。そして思った。「こんな酒、自分には造れない」。当時、飛露喜を世に出して3年目。尊敬する造り手から多くのことを吸収したいと思った。

 だが、場は荒れた。同席した他県の酒販店主が廣木に突っかかってきたからだ。

 飛露喜の代名詞だった「無濾過生原酒」を「こんな酒は飲めない」と酷評し続けた。

 「お開きにしましょう」

 佐藤が場を収めた。解散したふりをして、3人だけで市内にある高木のマンションに集まった。

 高木は言った。

 「廣木さん、いいストレートがあって変化球も生きる。そういう酒を造らないと」

 確かに、無濾過生原酒はあくまで「変化球」に過ぎない。それは廣木自身が一番わかっていた。

 無濾過生が高く評価されたのは、自分の製造技術がうまいからではない。酒で言えば無垢な赤ちゃんのような存在。どんな赤ちゃんでもかわいいのと同じで、他の蔵だって、造ればそれなりに評価される―。

 どんなに気を配って無濾過生を冷蔵しても、3、4カ月もすれば「生老香」という劣化した臭いが生じる。だから、廣木も火入れした酒に挑んではいた。

 その年の6月、初めて出荷した「飛露喜 特別純米」だ。しかし、全国という土俵で戦える自信も設備もまだなかった。無濾過生原酒を造るのとは違う、高い技術が求められた。

 思い通りのストレートになったと実感できたのは、それから2年後の2003年のことだ。愛称「特純」は十四代の「本丸」と同じ定番酒となり、不動の地位を築く。=敬称略(岡本進)

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