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みちのくワイド

石炭火力 時流に逆行?

写真: 拡大

写真:道路わきに積まれた石炭=福島県いわき市小名浜渚 拡大道路わきに積まれた石炭=福島県いわき市小名浜渚

 ●相次ぐ新発電所計画

 4月の電力小売り全面自由化を控え、石炭火力発電所の新設計画が東北で相次いでいる。安い発電コストで競争を勝ち抜く狙いだ。ただ、石炭火力は二酸化炭素(CO2)の排出量が天然ガス発電などより格段に多い。政府の温暖化対策に逆行すると、疑問の声もあがる。

 ●13基、東北に集中

 福島6基、秋田4基、宮城2基。朝日新聞が調べたところ、建設・計画中の石炭火力発電は東北で13基に上る。石炭に木材チップや廃材などバイオマス燃料を混ぜて、CO2排出量の低減を図る事業者もあるほか、場所も含めて検討中の1基はバイオマスだけの可能性もある。

 NPO法人「気候ネットワーク」によると、全国の石炭火力新設計画は47基あり、東北が4分の1を占める。関東(9基)や近畿(6基)よりも多い。

 東北に集まる理由の一つは、全国の電力需要の約3割を占める首都圏に近く、土地が確保しやすいことだ。電気の周波数が違う西日本から大量の電気を送るのは難しいが、東北は周波数が同じ。小名浜港(福島県いわき市)が石炭輸入の拠点港に指定され、燃料も調達しやすい。

 資源エネルギー庁によると、2014年時点の1キロワット時あたりの発電費用は、石炭火力が12.3円で、LNG(液化天然ガス)火力が13.7円。1割以上も安い。

 4月から一般家庭でも契約する事業者を選べるようになるため、首都圏での電力販売を増やそうと供給力の増強を図る事業者にとって「安価な石炭火力は魅力的だ」という。

 東京電力は「原発事故でご迷惑をおかけした福島県の復興」(広報室)のため、最先端技術の石炭火力2基(計108万キロワット)を同県内に計画する。福島第一原発に対応した大規模な送電網があり、原発1基分に匹敵する電気を首都圏に送ることが可能だ。さらにもう1基の石炭火力を検討中とされる。

 ●「温暖化助長」批判の声も

 こうした動きを、「気候ネットワーク」の桃井貴子・東京事務所長は「先進国で石炭火力を増やそうとしているのは日本だけ。温暖化対策を進める時代に逆行する」と批判する。

 発電に伴うCO2は、国内の温室効果ガス排出量の3分の1を占める。なかでも石炭火力は、再生可能エネルギーや原発、LNGと比べて排出量が格段に多い。

 日本政府は30年度の温室効果ガスを13年度より26%減らす目標を国際公約に掲げる。その達成のため、13年度時点で総発電量の30%を超えている石炭火力による発電量を、30年度には26%程度に減らす考えだ。

 だが、相次ぐ新設で石炭火力の割合は逆に増えかねない。

 ●アセス対象外も

 丸川珠代環境相は昨年11月、関西電力と丸紅が秋田市で計画する「秋田港発電所」(2基計130万キロワット)の環境影響評価(アセス)手続きで、「是認できない」とする意見書を経済産業相に出した。「石炭火力発電の増設と国のCO2削減計画との整合性を判断できない」という理由だ。

 異議は昨年、秋田市だけでなく千葉県市原市など計5カ所の石炭火力計画にも出ている。

 計画にゴーサインが出るかどうかは、電力業界の自主的な温暖化対策で、石炭火力のCO2を減らす実効性のある対策を示せるかどうかにかかっている。

 環境省がさらに頭を悩ませるのは、小規模な石炭火力発電所だ。一般的に大規模に比べて1キロワット時当たりのCO2排出量が約1割多い一方で、法律に基づくアセスは11.25万キロワット以上だけが対象。すると、基準をギリギリで下回る11.2万キロワットの計画が続出した。NGOなどからは「アセス逃れ」との批判もある。

 仙台市で関電と伊藤忠商事が進める「仙台パワーステーション」(11.2万キロワット)もその一つ。これまで事業者側の自主的なアセスはなく、住民説明会も開かれていない。秋田、福島両県は条例で小規模火力にもアセスを義務づけているが、仙台市では対象外だったためだ。

 来年秋以降に完成予定で、首都圏向けに電力を販売するとみられるが、環境省は詳細を把握していない。環境影響評価課の担当者は「事業者から何の発表もない。我々も状況がよく分からないまま、建設が進んでいたとは」と驚きを隠さない。

 一方で、売電事業を始めるある事業者は「アセスを終えるには3〜4年かかり、商機を逃す」と、アセスを避けたい理由を説明する。

 こうした状況を踏まえ、環境省は、小規模石炭火力は期間短縮など簡略化したアセスの対象としたり、自主的なアセスを促したりするなどの方策を検討している。

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