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高校野球【第101回全国高校野球選手権 福島大会】

新設校対戦 健闘たたえ合う

写真:ふたば未来―小高産業技術 試合終了後、握手をかわす両チームの選手たち=20日いわきグリーン 拡大ふたば未来―小高産業技術 試合終了後、握手をかわす両チームの選手たち=20日いわきグリーン

写真: 拡大

 ● ふたば未来と小高産業技術

 東日本大震災の後、沿岸部に新設された実力校同士の対戦は、シード校のふたば未来が小高産業技術を圧倒した。14―1と点差は開いたが、両チームの選手たちは最後まで懸命にボールを追い、「ありがとう」と健闘をたたえた。

 互いにライバルと認め合う両チームで、ともに主将が4番打者で、エースは130キロ台の速球を投げる右腕。昨秋の新チーム結成以降、公式戦では小高産業が2勝1敗と勝ち越していた。

 しかし、この日はひじを痛めている小高産業のエース渡部絢斗君(3年)が一塁手で先発。投手陣が大量点を奪われ、打線もふたばのエース国分渉君(3年)に5安打に抑えられた。

 今大会を最後に勇退する小高産業の服部芳裕監督(60)は「選手を万全の状態で送り出せなかった私の責任だ。選手は余計なプレッシャーを感じていたかもしれない」と話した。

 小高産業の佐藤隆信主将(3年)とふたばの高橋佑輝主将(3年)は「りゅうしん」「ゆうき」と呼び合う仲だ。佐藤君は「相双地区の思いも受け継ぎ、戦ってほしい」とエール。高橋君は「仲間の分も頑張り、初の甲子園をめざしてあと4勝したい」と応じた。(床並浩一、小手川太朗)

 ● けがで終わらず「ここに立てた」/尚志・小池泰輔捕手

 「よしっ、守備行こう」。味方が守備につく時、尚志の控え捕手・小池泰輔君(3年)はベンチを飛び出して大声を出す。正捕手の準備ができるまで、投球練習で球を受けるのが仕事だ。この日、ベンチに戻る途中、マスクを外すと右目がまだ青く腫れていた。

 尚志の野球部には月に数回、特別な日がある。マグロ、サーモン、イクラ……。色とりどりの海鮮が部室に並ぶ。マネジャーが4台の炊飯器を使って約50合の白飯を炊き、練習後の腹をすかせた選手約30人が海鮮丼にしてほおばる。

 差し入れたのは、大正14年から続く郡山市の「小池魚店」4代目、小池剛さん(50)。泰輔君の父だ。「少しでも箸が進むようにと思ってね」と笑う。

 冬を越え、チームに成果が現れた。エースの鈴木皓太君(3年)は体重が70キロから76キロまで増えた。球速は140キロを超え、大会の注目投手に成長した。小池君も体重63キロから70キロに増え、長打が打てるようになり、本番に臨むはずだった。

 しかし、開会式の3日前、剛さんがグラウンドに魚を運んでいる最中だった。突然、携帯電話が鳴った。「泰輔が救急車で運ばれた」。妻からだった。

 練習中に防球ネットのポールに激突。右目の上を12針縫うけがを負った。それでも翌日、病院に見舞いに来た福地大祐監督から「お前をベンチに入れる」と告げられた。

 初戦、小池君は右目に大きなガーゼを付け、ベンチ入り。スコアブックを片手に、配球や打球の方向を仲間に大きな声で伝えた。17日に抜糸して、第一シードの東日大昌平に挑んだ。

 試合後、小池君の目には涙が浮かんでいた。「みんなが初戦に勝ってくれたから、抜糸に間に合った。投球練習でグラウンドに立ててうれしかった。みんなには『ありがとう』しか言えないです」

 卒業後は大学に進学し、中学教師になる夢がある。また、父の見よう見まねで、魚を早くさばけるようにもなった。「僕は野球が下手でずっと控え。下手くその気持ちは誰よりも分かる、そんな先生になりたいんです」(小手川太朗)

 ● サイドスローの101球/船引・佐久間慎次投手

 同点に追いつかれた三回裏。なおも2死一、二塁で、船引のエース佐久間慎次君(3年)の元に、捕手の小檜山泰玖君(3年)が駆け寄った。「取られた点は取り返すから」。小檜山君の言葉にうなずいた。

 そして右手を水平に大きく伸ばしたサイドスローから、内角に直球を投げた。打球は三ゴロになり、追加点は防いだ。

 投法をサイドスローに変えたのはこの春だ。菅波智之監督に助言され試すと、いつもより制球が良くなった。初戦は12安打を許すも、打たせて取る投球で6―5で競り勝った。菅波監督には6月から「投手は絶対、おまえで行くから」と言われ、期待に応えた。

 しかし、日大東北戦では11点を奪われ、6回コールドで負けた。制球が定まらず、12安打を許すも、一人でマウンドを守り、101球を投げきった。試合後、「最後の夏なのに、コントロールができなかった。悔しい」と唇をかんだが、菅波監督は「佐久間以外の投手は考えていなかった」とかばった。(飯島啓史)

 ● 安積・佐藤匡投手

 安積の背番号1。佐藤匡投手(3年)は七回2死一、二塁の場面で、2度目の救援登板のマウンドに立った。すでに7点差。1点も与えられない状況で、5球目のスライダーで三振にうちとった。「自分の決め球。最後は良いボールを投げられたと思う」と振り返った。

 初戦の郡山商で先発し、3回3分の2を投げるも、3失点を喫し、満足な投球が出来なかった。この日は二回、福島商の打線が連打で勢いづき、5点を先制される苦しい場面で救援。三回以降は、相手の追加点を1点に抑え、味方の反撃を待った。

 支えになったのが、三塁側スタンドに陣取った応援団からの伝統的スタイルのエールや歌声。みんなの気持ちが体の中に入ってくるのを感じた。7回コールドで負けたが、「最後まで笑顔を通すことができたのじゃないかと思います」と胸を張った。 (戸松康雄)

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