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八ツ場ダム

八ツ場ダム 打設工事完了

写真:八ツ場ダム本体近くの会場では「祝 八ツ場ダム打設完了」と書かれた赤い容器から最後のコンクリートが流し込まれる様子がスクリーンに映された 拡大八ツ場ダム本体近くの会場では「祝 八ツ場ダム打設完了」と書かれた赤い容器から最後のコンクリートが流し込まれる様子がスクリーンに映された

写真:式典の前に八ツ場ダム本体最上部で視察する関係者ら。(左から)小渕優子衆院議員、上田清司埼玉県知事、大沢正明群馬県知事、萩原睦男長野原町長 拡大式典の前に八ツ場ダム本体最上部で視察する関係者ら。(左から)小渕優子衆院議員、上田清司埼玉県知事、大沢正明群馬県知事、萩原睦男長野原町長

写真:長野原町川原畑の展望台「やんば見放台」から望む八ツ場ダム 拡大長野原町川原畑の展望台「やんば見放台」から望む八ツ場ダム

 国が来春の完成を目指す八ツ場(や・ん・ば)ダム(長野原町)の本体のコンクリート打設工事の完了式が12日、現地で開かれた。国は、水をためるテストの「試験湛水(たん・すい)」を今秋に始め、来春以降にダムとして使い始める予定。戦後間もない1952(昭和27)年に浮上してから70年近い歳月をかけた計画は、大詰めを迎えた。

■試験湛水 今秋から

 NHKで放送された番組「プロジェクトX」の主題歌だった中島みゆきさんの「地上の星」のメロディーが流れる中、午前10時半ごろに始まった式典。地元住民代表や、大沢正明知事、埼玉県の上田清司知事をはじめダムの受益者の1都5県の関係者ら約230人が集まった。ダム本体の頂上部に最後のコンクリートを流し込み、打設工事は完了。会場の大型スクリーンで工事の映像が流れ、拍手が起こった。

 地元の激しい反対運動や度重なる事業の遅れ、民主党政権下の中止表明と撤回などを経て、ダム本体工事は2015年1月に着手。16年6月、コンクリートを流し込み堤体を造る打設工事がスタートしていた。

 ダム本体の重さで水圧に耐える重力式コンクリートダムで、本体の高さは116メートル、頂上部の幅は290メートル。国土交通省によると、今後はダム本体への放流設備の設置や、周辺の工事設備の撤去に着手するほか、水没予定地周辺の遺跡発掘調査や地元の生活再建事業が続けられる。試験湛水での強度テストを経て、今年度内に完成を見込む。完成後は利水と治水、発電の多目的ダムとなり、総貯水量は1億750万立方メートル。東京ドーム約87杯分という。

 式典は国交省関東地方整備局と本体工事の元請けの清水建設、鉄建建設、IHIインフラシステムの共同企業体(JV)が共催した。式典で萩原睦男町長は「昭和、平成と様々な状況を経験した八ツ場ダムの打設が令和になって完了したのは感慨深い」と話した。(丹野宗丈、寺沢尚晃)

■維持管理費 地元に重く

 八ツ場ダム(長野原町)が国の予定通り来春完成しても、地元の「生活再建」は終わらない。ダムを受け入れる見返りに造られた施設や道路、下水道、公園などの維持管理費が、綱渡りの財政運営を長野原町に強い続ける。

 「完成後は国や県は面倒をみてくれない。運営次第で町全体の負担になる」。6日、町役場で開かれた「水没関係五地区連合対策委員会」で、桜井芳樹委員長(69)が地域住民の代表らに訴えた。萩原睦男町長(48)は「町民全体で意識を共有したい。維持、管理、運営面でマイナスの部分もプラスの部分も非常に重要な場面を迎えている」と話を継いだ。地元ではダム完成が近づくにつれ、ダムとセットで造られたインフラの今後の維持管理コストへの危機感が広がる。

 国内のダム建設史上最高の約5320億円を投じた八ツ場だが、ダム本体の建設費は約625億円と12%程度。費用の多くは、水没予定地の用地買収や集落の移転などに投じられた。

 これとは別に、ダムの受益者となる東京、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬の6都県と国が、水源地域対策特別措置法に基づく振興事業や利根川・荒川水源地域対策基金を通じた事業に、計約1175億円を分担。地元の生活再建に関わる事業に使われている。いまもダムと並行して、アウトドアレジャー施設や水没文化財保存センター、農林産物加工施設、屋内運動場などの整備中だ。

 ただ、インフラ整備後の維持管理費は地元負担。ダム関連を除いた財政規模が年40億円程度の町には軽くない。5年前に就任した萩原町長は「これまで身の丈に合わないようなものも造られてきた」と話す。町は2016年、ダム完成10年後までの財政計画を練り始めた。人口減少による税収減を念頭に、ダムの見返りに造られたインフラの維持管理費を試算したが、「不確定要素が多い」として今も公表していない。

 維持管理に充てる財源は、将来に備えて今年度までに15億円を目標に積み立てている基金のほか、大きく二つある。一つは施設の委託運営先から純利益の3割を受け取る指定管理料だが、施設が赤字なら町の取り分はなくなる。

 もう一つがダムの固定資産税代わりの「国有資産等所在市町村交付金」。完成翌年度から交付されるが、最初の10年間は満額は交付されず、交付金が入ればその分地方交付税収入を削られる。結果的に町が財源に見込めるのは、最初の10年間は年1〜2億円。満額交付でも年3億円程度とみる。

 人口減少や高齢化の影響も懸念される。萩原町長は「この先、色んなものが一気に古くなる。左うちわではいられない」。(丹野宗丈)

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