メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

03月18日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

ちゅうごくライフ

【安心したい】被災時に畳 提供の輪

写真:今年5月に口永良部島の新岳が噴火した時には、屋久島の避難所に畳を届けた=5月31日、鹿児島県屋久島町 拡大今年5月に口永良部島の新岳が噴火した時には、屋久島の避難所に畳を届けた=5月31日、鹿児島県屋久島町

写真:プロジェクトに参加する広島市内の畳店。災害時には職人が素早く畳を仕上げて、被災地に届ける=広島市西区 拡大プロジェクトに参加する広島市内の畳店。災害時には職人が素早く畳を仕上げて、被災地に届ける=広島市西区

写真:9月、協定に調印した江田島市の田中達美市長(左)と前田敏康委員長=広島県江田島市 拡大9月、協定に調印した江田島市の田中達美市長(左)と前田敏康委員長=広島県江田島市

 地震や豪雨などの大災害が起きた時。避難した人が少しでも快適に過ごせるよう、畳店が被災地に新品の畳を提供する取り組みが広がっています。中国地方でも団体と協定を結ぶ自治体が増えてきました。万が一に備えた、民間と自治体の協定は多様化し、その必要性が増しています。

 ◇避難所を衛生的に プロジェクト 自治体と協定

 「もしもの時は、全国のメンバーがしっかり畳を届けます」

 広島県江田島市で9月25日にあった「5日で5000枚の約束。」プロジェクト実行委員会と市の協定式で、委員長を務める神戸市の畳店経営前田敏康さん(45)はそう述べた。

 「5日以内に5千枚の畳を避難所に届ける」との思いから名付けたプロジェクトだ。連携する全国の畳店は、災害が起きると2日程度で畳を作り、代表の畳店が3日ほどかけ被災地までトラックで畳を届ける。

 畳には抗菌、防音効果や湿度を調整する機能がある。体育館など冷たい床が多い避難所に敷けば、過ごしやすくなるという。新しく作ることで保管場所が不要で、清潔で衛生的だと喜ばれる。一つの体育館に敷き詰めるには、400〜500枚が必要だという。

 前田さんは阪神大震災で被災し、当時住んでいた神戸市内の会社の寮は全壊した。移った別の寮で、全国から届けられた食料や衣服などの救援物資に助けられた。翌年、退社して家業の畳店を継いだ。

 2011年の東日本大震災の後。体育館で避難生活を送る被災者をテレビで見て、前田さんは阪神大震災のことを思い出した。「畳店として何か恩返しができないか」。同業の知人に思いを打ち明けると賛同してくれる人がいた。「避難所に畳があれば避難生活の苦しさが和らぐのでは」。まずは近畿地方の5店の店主らと始めた。

 知人を通じて募ると、参加する畳店は少しずつ増え、現在は42都道府県の272店までになった。中国地方でも岡山県19店、広島県6店、島根県2店、鳥取県、山口県各1店が加わっている。協定を結ぶ自治体も全国に広がり、岡山市、岡山県倉敷市、広島県安芸高田市など35カ所になった。

 プロジェクトは、5月の鹿児島県口永良部(くちの・え・ら・ぶ)島で起きた噴火では、屋久島に設置された避難所に約140枚を届けた。「畳だからよく寝られる」と喜ばれたという。9月の記録的豪雨で大きな被害が出た、茨城県常総市とつくばみらい市には計約200枚を届けたという。

 屋久島に畳を届けた広島市の畳店の山下幸彦さん(56)は「被災者の方が喜ぶ顔を見てうれしかった。困ったときはお互い様なので、これからも地道に活動を広げていきたい」と話した。

 ◇生活の質向上へ他業種も強力

 4月にプロジェクトと協定を結んだ岡山県倉敷市は、ほかに民間と約80の協定を結ぶ。スーパーやコンビニなどが飲み物や食べ物、日用品を提供したり、大型商業施設やホテルなどを避難場所として使用したりする協定など内容は様々だ。

 市防災危機管理室の担当者は「床に敷くマットや簡易ベッド、仕切りなどは必要になるが、食料や毛布などと比べて十分に対応できていない。いざという時、市民の方が避難所でも快適に過ごせるよう、民間との協力を広げていきたい」と話す。

 過去の災害では、冷たい床の上でじっとしていることが多い避難所生活で、体調を崩す人や「震災関連死」する人が相次いだ。こうした人を減らそうと、避難所生活の質を高めようとする動きは出ている。

 国は2013年、「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」を策定。生活環境の改善策として、畳や簡易ベッド、冷暖房機器、仮設風呂などを必要に応じて設置することを自治体に求めている。内閣府の担当者は「今後は、乳児の母向けに授乳スペースや、体が不自由な人も過ごしやすい場の確保など細やかな対応に力を入れていきたい」と話す。

 ≪追伸 記者より≫

 「決して余裕のある業界ではありませんが、できる限りのことをしたいんです」。前田さんの言葉に胸を打たれました。思いのこもった畳は、口永良部島や北関東の被災者にも好評だったそうです。避難先で、どう健康を維持できるか。やるべきことは多そうです。今後も注目していきたいと思います。(泉田洋平)

PR情報

ここから広告です

広島総局から

「地域情報・広島」では県内の主なニュース、連載、イベント情報など多彩な話題をお届けしています!情報提供やご意見ご感想はメールでお寄せ下さい。
メールはこちらから

朝日新聞 広島総局 公式ツイッター

注目コンテンツ

  • 写真

    【&w】ファッションはどこへ向かう

    モデル・冨永愛×高橋牧子記者

  • 写真

    【&TRAVEL】退蔵院と高台寺のしだれ桜

    京都ゆるり休日さんぽ

  • 写真

    【&M】バンドスローガンは一生青春

    結成10年で決意の扇ポーズ

  • 写真

    【&w】ワインの「肴」になるパン

    このパンがすごい!

  • 写真

    好書好日滝沢カレンの物語の一歩先へ

    魯迅「阿Q正伝」を超解釈

  • 写真

    WEBRONZA虐待死事件と児童相談所改革

    今日の編集長おすすめ記事

  • 写真

    アエラスタイルマガジン女優・映画監督 小川紗良

    理想の男性を語る

  • 写真

    T JAPAN自社田で米作りから手がける

    岡山県「丸本酒造」の流儀

  • 写真

    GLOBE+野生ゴリラ、驚きの価格設定

    連載「アフリカを旅する」

  • 写真

    sippo野良犬から生まれた子犬

    大きくなって家族守る存在に

  • 働き方・就活

  • 転職情報 朝日求人ウェブ