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それから 2015

去る人だかり 静寂戻る

写真:猿山の下で、飛び交うスズメに目をやるサル 拡大猿山の下で、飛び交うスズメに目をやるサル

写真:住み慣れた塔を上り下りする猿=3月30日、いずれも尾道市の千光寺公園 拡大住み慣れた塔を上り下りする猿=3月30日、いずれも尾道市の千光寺公園

 ■尾道・千光寺公園の猿山最後の1匹 

 尾道の観光名所・千光寺公園の一角には猿山がある。2007年まで隣に遊園地があり、かつてはクジャクなども飼育されていた。猿山の猿はこの10年ほどで減り続けており、近親交配が進んだことなどが原因とみられている。たった1匹の名もなきメス猿の記事は4月1日付の備後版や朝日新聞デジタルに掲載した。

 3月末、記者が千光寺公園に桜の写真を撮りに行こうとすると、幼稚園児の息子が「一緒に行きたい」とせがむので車に乗せて連れて行った。

 子連れで来たのを見たためか、駐車場のおじさんが「猿山に猿がいるからのぞいてみたら」と教えてくれた。見事な桜の写真を撮り終え、猿山に立ち寄ると、猿が1匹ごろりんと寝そべっていた。

 息子が「おサルさーん」と呼びかけても無視。あっちにごろりん、こっちにごろりん。その姿は悠々自適なようだが、どこかさみしそうにも見えた。「なぜ1匹なんだろう」。管理している市観光課に聞いた。

 世話をしている宮谷匠さんによると、かつて猿は30匹前後いたが、1匹、また1匹と死んでいき、昨年暮れに最後のオスが死に、メス猿1匹になったという。宮谷さんの飼育歴から考えると、この独りぼっちのメスの年齢は若くても15歳。ニホンザルの寿命は20歳ごろからと言われる。

   ◇

 そんな経緯や猿の姿を記事にすると、ちょうど花見のシーズンだったこともあり、反響を呼んだ。掲載直後は、猿山に人だかりができ、記事を読んだという親子がバナナをあげようとする姿もあった。テレビのニュースでも取り上げられた。

 「『まだ猿がいたんだ』と思い出して見に来た人が結構いました」。今もエサやりや清掃などをしている宮谷さんは振り返る。

 あれから8カ月。千光寺公園は観光オフシーズンで、公園の外れにある猿山周辺に人影はなかった。猿も見あたらない。

   ◇

 隣の丘の中腹から猿山の真ん中にある塔の上を見上げると、上でごろりんと寝そべる猿の背が見えた。急いで丘の上まで上がったが、カメラを構えるより先に、猿はスルスルッと塔を下りてしまった。こちらも塔の下をのぞき込める場所に下りたが、今度は塔の裏に回り込まれた。こちらは猿山の外周を回らされ、なかなか追いつけない。

 追いかけっこをすること約30分。ようやく写真を撮らせてくれたが、あっという間に塔の中に入っていった。それでも、病気もせず、今も元気なことはわかった。ただ、春先よりずっとシャイなそぶりから「そっとしておいて」と言われたような気がした。

 来年はさる年。「できるだけ長生きしてほしい」と宮谷さんは言う。記者も同じ思いだ。(井石栄司)

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