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ちゅうごくライフ

【エンジョイ】空き家再生し資源に

写真:他郷阿部家を支える松場登美さん(左)と大河内瑞さん。台所のテーブル(右下)で宿泊客全員と松場さんらが一緒に食事をとる=島根県大田市大森町 拡大他郷阿部家を支える松場登美さん(左)と大河内瑞さん。台所のテーブル(右下)で宿泊客全員と松場さんらが一緒に食事をとる=島根県大田市大森町

写真:築100年以上の古民家の改修作業をする近畿大工学部の学生たち=広島県東広島市福富町下竹仁 拡大築100年以上の古民家の改修作業をする近畿大工学部の学生たち=広島県東広島市福富町下竹仁

 空き家を地域特有の資源としてとらえ、様々な形で活用する人たちが中国地方でも増えています。島根県大田市の空き家を宿に再生し、生活文化を発信する女性経営者と、空き家の再生を学びの場にする近畿大工学部(広島県東広島市)の男性教員を訪ねました。

 ■生活文化、伝える宿 島根

 「古民家を再生するだけでなく、営まれた生活文化を再生し、伝えていくことに意味があるんです」

 世界文化遺産・石見銀山(島根県大田市)に抱かれた大森地区。江戸期の古民家を再生した旅館「他郷(たきょう)阿部家」で、女将(おかみ)の松場登美さん(67)はこう語った。

 古民家は1789年、銀山付き役人の居宅として建築。1975年に県指定文化財になったが、荒れ果てていたこの空き家を98年に購入した。

 2001年から始めた改修では、閉校した小学校の机や窓、床材など歴史が刻まれた廃材も活用。昔の生活文化が感じられるような場づくりを心がけた。

 松場さんは、アパレルブランド「群言(ぐんげん)堂」を全国展開する石見銀山生活文化研究所(同市)の所長を務める。夫の大吉会長(63)と約30年前から、同地区で10棟の古民家再生を手がけ、店舗や社員寮に活用してきた。

 松場さんは02年から阿部家で暮らし、地域の伝統的な生活様式に触れてきた。「生活文化がおのずと伝わるような宿にしたい」と考え、08年に1日3組限定の旅館として開業。著書や講演で紹介してきた。女性を中心に、今では年間1千人近くが訪れる。

 4月末、記者も阿部家に宿泊した。母屋2階の部屋には、装飾ガラスをパッチワークのようにはめた特製の窓がある。1階の台所からは食事を作る音やスタッフの笑い声。かまどにまきをくべる匂いもする。

 夕食前には、改修前の阿部家の姿や松場さんの思いを紹介する10分間のビデオを鑑賞。夕食時は年配の夫婦3組と松場さん、記者の計8人で大きなテーブルを囲んだ。松場さんはできる限り同席し、暮らしの知恵や料理のレシピなどを披露するという。

 この日の献立は、近所で採れた山菜を使った家庭料理や自家製のゆべし、岩ガキなど10品以上。締めは「女将見習い」の大河内瑞(みづ)さん(31)が、かまどで炊いた熱々のご飯でむすびを握った。4年前に客として訪れた際、まちの魅力にはまり、東京から移住して働いているという。

 翌朝は松場さん手作りの朝食後、宿を出発。体全体で感じた昔の生活文化は、どこか懐かしかった。

 大森地区は人口約400人。近年は、生活文化研究所の社員など若い世代が移り住み、昨年は子どもが7人も生まれて活気づいてきたという。松場さんは「阿部家は赤字だけど、多くの宿泊客に思いを伝えられる幸せなビジネス。大森から持続可能な暮らしと社会を発信したい」と語る。

 ■大学生が改修、学びの場 広島

 5月初旬の休日。広島県東広島市の山あいで、近畿大工学部(同市)の学生たちが、古民家の壁や棚の塗装作業に汗を流していた。

 古民家は約300坪の敷地に築100年超の母屋と納屋、蔵、畑がある。工学部建築学科の谷川大輔准教授(43)が2年前、研究活動の一環で購入。母屋は、田舎暮らしが体験できる交流拠点「星降るテラス」としての再生を目指し、学生有志と改修を進めている。谷川准教授は「昔の建物の造りを学ぶだけでなく、地域づくりに関わるきっかけにしてほしい」と話す。

 この日は学生18人が参加した。棚の塗装作業をした同学科4年、川口椋太郎さん(21)は「駅舎など人が集まる建物の設計に興味があるので、将来この経験を生かしたい」と話した。

 活動は、中山間地や島を舞台にした「ひろしま さとやま未来博2017」の一環でもある。今夏にはかまどや五右衛門風呂を作り、今秋は祭りを開く予定。いずれも参加可能。問い合わせは谷川准教授(090・9326・2842)へ。

 ■追伸 記者より

 他郷阿部家は進路に悩む若者らのインターンも受け入れています。担当は広島大を昨春卒業した番頭見習い、寺本芳瑛(よしあき)さん(24)。地元の安養寺の長男です。島根大の社会人ゼミで地域教育を勉強中。「教育、地域というキーワードで地元を盛り上げたい」。軽やかな笑顔で活躍を誓っていました。(清水康志)

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