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ちゅうごくライフ

【医とケア】ノルディック・ウォーク

写真:学会に参加した医療者たちが、瀬戸内の風を感じながらノルディック・ウォークを楽しんだ=岡山県倉敷市の下津井地区 拡大学会に参加した医療者たちが、瀬戸内の風を感じながらノルディック・ウォークを楽しんだ=岡山県倉敷市の下津井地区

写真:ノルディック・ウォークと他の歩き方の比較 拡大ノルディック・ウォークと他の歩き方の比較

 ■医療現場で広がる 治療・リハビリに効果確認

 2本のポールを使う足腰に優しい健康法として親しまれている「ノルディック・ウォーク」=キーワード=が、医療現場での治療や地域ぐるみの健康事業としても広がり始めている。11月には岡山県倉敷市で学術大会が開かれた。報告された効果と課題を紹介する。

 日赤医療センター(東京)の久野木順一・副院長兼整形外科センター長は、背骨手術一筋のベテラン医だ。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などで起きる脊椎(せきつい)変形に対する術後のリハビリや、高齢で手術できない患者にノルディック・ウォークを活用している事例を多数報告した。

 久野木さんは、背骨が曲がると、痛みや歩きにくさだけでなく、内臓が圧迫されて起きるさまざまな病気や、見た目を気に病み引きこもるなど心の問題にもつながると指摘。歩行能力や姿勢の改善の目的で2年前からノルディック・ウォークを治療に使い始めたという。

 効果を調べるため、高齢女性患者7人に、1回20分のノルディック・ウォークを週5回、8週間続けてもらい、歩行速度などを測った。すると、平均歩行速度は速くなり、歩幅も大きくなっていた。

 久野木さんは「歩行能力や姿勢が大幅に改善し、手術をせずにすんだ人もいます」と話し、今後、ノルディック・ウォークの何が効いているのか検討を続けるという。

 津山中央病院(岡山県津山市)では、心筋梗塞(こうそく)後の生活の質の維持や再発予防を目的とする心臓リハビリに使い始めた。循環器内科の岡岳文・院長補佐は、心臓に過度の負担をかけない有酸素運動で、屋外で四季折々の風景を楽しみながらできる利点をいかし、家族ぐるみで参加できる「岡山ハートフルウォーキング」活動を紹介した。

 ただし、ノルディック・ウォークは通常の歩行より酸素消費量が2割増えるので、心臓病の人には適切な運動処方をし、屋外の催しでは急変に備えた態勢が必要だと注意を喚起した。

 下関リハビリテーション病院(山口県下関市)は、2013年ごろからノルディック・ウォークを回復期リハビリに使っている。林研二院長が、脳卒中、パーキンソン病、太ももの骨折などさまざまな患者の歩行訓練で効果が出ていると報告。病気によっては使えない人もいるので「適応を見極める必要がある」と話した。

 退院後も通院や訪問リハビリなどで続けられる体制をとる。1年後、スーパーに自分で買い物に行けるようになった人もいるそうだ。「下関は坂が多い街。歩く力は、自分の街に住み続けられる力なのです」

 いずれの報告も、患者に使う場合は、病状や体力など個人差に十分留意し、ノルディック・ウォークの知識と経験が豊富な医師や理学療法士らスタッフが指示・監督する必要があると指摘した。

 ■地域ぐるみ健康事業

 「棺おけまで、歩いていける街づくり」。鳥取県中部医師会長で、倉吉市で小児科医院を開く松田隆さんは、県や地域が一体となってウォーク道整備や靴指導などを進めている活動「ウォーキング立県とっとり」を紹介した。

 なかでも、三朝町は熱心だ。古湯・三朝温泉では、温泉旅館協同組合青年部の若女将(おかみ)らがインストラクターの資格を取得。各宿などでポールを無料で貸し出し、月2回のウォークイベント(入浴券つき、500円、1〜3月は休み)も開いている。

 鳥取との県境にある岡山県新庄村は人口900人弱、高齢化率が4割を超す。14年からノルディック・ウォークを核にした「若返り、スマートになるトレーニング教室」、愛称スマトレ教室を開いている。94歳を筆頭に、会員45人の平均年齢は73歳。1年以上続けた人の体力年齢は平均7・2歳若返ったそうだ。

 村森林セラピー協議会の黒田真路さんは「効果はあるが、副作用はない。そんなことがあっていいのでしょうか」。会場を笑わせた。

 ◆キーワード

 <ノルディック・ウォーク> 北欧で生まれた。手に持った2本のポールを地面に突く角度で運動強度が大きく変わる。両足の前にポールを垂直に突くスタイルは強度が最も弱く、体を「4本足」で支えるため歩行が安定する=イラスト。日本ノルディック・ウォーク学会長の松谷之義さんは「2足歩行に進化したことで、人体には無理が生じた。この弊害をポールを使う『4足歩行』で取り除けば、健康寿命は延びるでしょう」と話す。

 ■追伸 記者より

 学術大会長を務めた重井文博さんは、あいさつの時、60年代の大ヒット曲「ロコモーション」で踊りながら登壇。足腰の衰えから要介護になる「ロコモティブ症候群」に引っかけた演出です。健康長寿に向け、医療から福祉、体育まで、幅広い職種が連なり進んでいく蒸気機関車を連想しました。(中村通子)

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