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ちゅうごくライフ

【医とケア】転ばぬ先に筋トレを

写真:高齢者らの転倒予防のために作られたステップ・バランストレーナー=広島市中区 拡大高齢者らの転倒予防のために作られたステップ・バランストレーナー=広島市中区

写真: 拡大

 段差につまずき「あぶない!」と思ったことはありませんか? いざというときの一歩が出ないと、骨折などの大けがにつながることも。「転ばぬ先の筋トレマシン」が広島で開発されたと聞き、記者が体験しました。

 ■広島でマシン開発 立つだけで筋肉鍛錬

 広島市中区の運動器具を備えた「けんこうパーク」に、そのマシンはあった。

 幅0・75メートル、長さ1・6メートルの長方形のボードの両脇には、転倒しないよう、手すりがついている。経営する保科寿直(としなお)さん(64)の合図とともに、ボードが前へ動いたかと思えば急停止。今度は後ろへ。まるで電車の急発車や急停止時のよう。この不規則な動きが5分続いた。バランスがとれず、思わず右や左に足が出る。記者は27歳だが運動不足に悩んでおり、最後の方には背中から汗が出た。

 名前は「ステップ・バランストレーナー」。前後に7パターン、最大30センチ、最速は秒速60センチで動き、「つまずく」「滑る」という状況をシミュレーションできる。個人の筋力に合わせてパターンを選び、10〜15分間立つだけで、支えの一歩を素早く踏み出す下半身の筋肉が鍛えられるという。

 50歳を過ぎたころから自分の思うように足が動かず、転ばないか足元ばかり見て歩いていたという女性(66)は、「トレーニングしてから体の軸が感じられるようになって、前を向いて歩けるようになった」。保科さんはこうした60〜70代の男女約20人に週2、3回、約3カ月間利用してもらい、効果を確認したという。

 考案したのは生物力学の専門家で広島大学名誉教授の渡部和彦さん(73)。渡部さんによると、人にはもともと一度姿勢が崩れても、足や腰の筋肉を使って姿勢を回復させる力がある。しかし高齢化や運動不足によって筋肉が少なくなったり、気が動転して筋肉をうまく使えなかったりすると、転んでしまう。

 なかでも高齢になると、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になる人もいる。渡部さんは「転んだ際に手首や足を骨折することで、障害が残ってしまうおそれもある。そうなる前に予防に努めてほしい」と注意を呼びかける。

 製品化は、広島市南区の機械制御システム製作会社ナムによるものだ。社長の尾形文弘さん(73)は、病気で自宅療養中だった兄や義母が、家のふすまの桟といったなんでもないところでつまずいてけがをし、弱っていく姿を見た経験がある。「そうした人が少しでも減ってほしいと実用化に手を挙げました。『自分は大丈夫』と思わず、一度試して」という。

 ステップ・バランストレーナーは現在、広島大学(東広島市)、西広島リハビリテーション病院(広島市佐伯区)、川崎医療福祉大学(岡山県倉敷市)にもある。一般利用ができるのは「けんこうパーク」のみで、無料で1回体験できるほか、1カ月で8回トレーニングできる体験プログラム(1万2千円=税込み)も始めた。問い合わせは保科さん(090・8712・1387)へ。

 ■転倒で死亡5788人 

 厚生労働省による2016年の人口動態調査によると、国内の死因の約3%を占めているのが「不慮の事故」だ。このうち、「スリップ、つまずき及びよろめきによる同一平面上での転倒」は5788人で、海の事故を含めた「交通事故」の死者数を上回っている。

 また同年の国民生活基礎調査によると、介護が必要になった原因として、認知症(18%)▽脳血管疾患(16・6%)▽高齢による衰弱(13・3%)に続く第4位が転倒・骨折(12・1%)となっている。

 「日本転倒予防学会」(東京)は、転ばないためには体を動かす習慣をつけることが大切だとしている。歩く、またぐなど日常の動作で「片脚立ち」を意識することや、ストレッチを推奨。また栄養バランスの良い食事で転んでも骨折しない丈夫な骨づくりに努めることや、部屋を片付けるなど転びにくい環境づくりも呼びかけている。

 ■追伸 記者より 

 記者の祖母(92)も15年前に玄関先の2センチほどの段差につまずき、太ももを骨折。それ以来趣味の旅行にも行かなくなり、冬には「足が痛い」と嘆くようになりました。地域によっては、転倒予防の体操教室をするところもあります。転倒が「こわい」と思ったら、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。(新谷千布美)

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