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平和・ヒロシマ

子ども世代の世界、想像を

写真: 1943年生まれ。81年からミッテラン仏大統領(当時)の特別顧問を務め、91年に欧州復興開発銀行の初代総裁に就任した。 拡大 1943年生まれ。81年からミッテラン仏大統領(当時)の特別顧問を務め、91年に欧州復興開発銀行の初代総裁に就任した。

写真: 拡大

写真:デジタル化する社会での平和について意見を交わすパネリストら 拡大デジタル化する社会での平和について意見を交わすパネリストら

◇ 国際平和のための世界経済人会議

 SDGs(持続可能な開発目標)=キーワード=の視点から平和について考える「国際平和のための世界経済人会議」(県などでつくる実行委員会主催)が5、6両日、広島市中区で開かれた。経済やメディア、教育、スポーツなどの分野から多くの専門家や企業家らが参加し、活発に意見を交わした。(構成・原田悠自、北村浩貴、橋本拓樹)

 ■ 基調講演、ジャック・アタリ氏

 平和と戦争を語る上で、広島ほど適切な場所はない。この地は何十年も前に、決して忘れることができない悲劇があった。今後、起こるかもしれない戦争を回避するためには、前向きな形で経済と平和を構築していかないといけない。

 この10年で、戦争や暴力の脅威は、ますます高まっているように思える。世界の人口は、100億人へ増えようとしている。これが水の枯渇につながり、水不足の場所では紛争が起こり得る。また、資源不足の問題もある。石油やレアアースなど一部の国にしかない資源を巡る紛争も懸念される。

 現代では、第2次世界大戦後に比べ、国連をはじめとする国際機関の果たす役割が弱まっている。市場はグローバル化が進んでいるのに、民主主義における法の支配は地域に限定されたまま。だから、各国の抱える問題を自国だけで解決しないといけないと考える風潮が広がり、ナショナリズムが台頭している。さらには、「自分たちの利益だけを追求する」という自己中心的な考え方が各国の外交戦略になってきている。

 核兵器の存在も脅威だ。米国がロシアに対し、(冷戦時代に米国と旧ソ連が核軍縮を念頭に結んだ)中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄すると表明した。核兵器は減らさないといけないのに、むしろ増やしていこうとしている。

 新たな技術の存在も危険だ。たとえばAI(人工知能)は、自律的な兵器として、人が意図していない戦争を起こしかねない。ドローンもまた、特定の個人を狙ったり、高い精度を持った大量兵器として利用されたりする可能性がある。

 こうした様々なリスクを回避するのに必要なのは、目先の利益ではなく、次の世代にとって何が良いかを考えることだ。我々の子どもの世代、つまり30年後の世界を想像しなければならない。気候変動への対応策として脱炭素社会を目指したり、AIを国際的に制御したりすることは、必ず実行できるはずだ。

 広島県のみなさんとも協力し、長期的な対話を通して、世界にとってポジティブな平和を作り上げていきたい。

                 *

 ■ 被爆100年は核ない世界に 湯崎英彦知事、あいさつ

 県では「国際平和拠点ひろしま構想」を掲げ、核兵器廃絶と復興、平和構築に向けた取り組みを進めてきた。その一環で、2年前には、本格的なマーケティングによる平和構築の可能性を探る「世界経済人会議」を初めて開いた。

 現代マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー氏から「核兵器をはじめとする兵器の削減」「憎しみの連鎖を減らす」「愛を高める」の三つの提言をもらった。その提言を宿題と考え、平和研究機関との共同研究を進め、ローマ法王をはじめ世界の指導者に被爆地訪問の呼びかけを続け、平和学習のためのオンライン学習の開発に取り組んできた。

 現在、核兵器廃絶に向けた具体的な動きは停滞し、むしろ逆行している。県はSDGsの推進役として、日本政府が定める「SDGs未来都市」の一つに選ばれた。この会議で議論を深め、前回会議に続く新たな提言・提案をまとめたい。

 2020年には被爆75年を迎える。東京ではオリンピック、パラリンピックが開かれ、世界の注目が日本に、そして広島に集まる。広島は、少なくとも被爆100年にあたる45年には核兵器のない平和な世界を達成できるよう、貢献していきたい。

 ■ 紛争地域での活動紹介 教育通じた平和構築

 「新しい時代の教育を通じた平和構築」と題したセッションでは、紛争や内戦地域に関わる国内外のパネリストがそれぞれの立場で意見を出し合った。

 インドとパキスタンが帰属を争うカシミール地方の大臣を務めたファルザナ・ヤクーブさんは、現地では難民も多く、教育に回す資金が足りない実情を説明。「カリキュラムの初期の段階から、平和にはどのような利益があるのか、教えていかなければならない」と強調した。

スリランカなどで低所得者向けのデジタル学習塾を展開する湯野川孝彦さんは、遠隔地での事業は採算性など色々と問題があることを紹介。「でもICT(情報通信技術)を使えばかなり解決できる」として、営利活動との両立の可能性に触れた。

 篠原良隆さんは、所属するNPO法人がルワンダやボスニア・ヘルツェゴビナで、平和構築を先導する人材の育成を続けていることを紹介。「彼らは、貧困や戦争を身近なものとして体験し、新しい技術を平和活動のために使うことを理解している」と話した。

 アフガニスタンなどから研修生を受け入れている国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所の隈元美穂子所長は「紛争解決には、腐敗や貧困などの根本問題を考え、いかに質の高い教育とトレーニングを重ねていくかが重要」と指摘した。

 ■ 人権・民主主義どう守る デジタル技術急成長

 デジタル技術が急成長している国際社会と平和を考えるセッションでは、監視社会やデマの流布の中、人権や民主主義をどう守るか意見が交わされた。

 慶応義塾大の山本龍彦教授は、ビッグデータで国民一人ひとりの「信用度」を点数化する中国の政策を挙げ、「社会的に排除された点数の低い人たちがいずれ反動を起こす」と危機感を示した。

 また米国と中国の対立は「人権と社会成長のどちらを重視するかという憲法観の違いがある」と指摘。多国間にまたがるグーグルなどの企業が調停役を担える可能性を示唆した。

 慶応大の神保謙教授は「米国では共和党も民主党も主張が極端になっていて、有権者にはそれぞれの主張に沿った情報しか入ってこない」とした上で、「状況を打開するには、社会の実態に人々をどう近づけていくか考えないといけない」と述べた。

 フェイクニュースを巡り、日本マイクロソフトの片山建・サイバーセキュリティ政策担当部長は、「インターネットを閲覧するブラウザーに、ニュースの真偽を表示する」案を披露。ビジネスインサイダージャパン統括編集長の浜田敬子さんも「人力で真偽を確かめるのは途方もない。メディアとIT企業で一緒に基準を作るべきだ」と応じた。

 ◆ キーワード

  <SDGs(持続可能な開発目標)>

 国連総会で2015年採択された全ての国連加盟国が30年までに取り組むべき行動計画。「誰も置き去りにしない」を共通理念に、「貧困をなくそう」「パートナーシップで目標を達成しよう」などの17分野からなる。さらに、「暴力の防止とテロの撲滅のため、国際協力を通じて国の機関を強化する」といった具体的な169項目の目標が掲げられている。

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