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ちゅうごく経済【ちゅうごくの底力】

シャンテ(岡山県矢掛町)

写真:矢掛屋本館の前に立つ安達精治・シャンテ社長 拡大矢掛屋本館の前に立つ安達精治・シャンテ社長

写真:矢掛屋の別館にある客室。外観は古民家だが、内部は近代的に改装されている=岡山県矢掛町矢掛 拡大矢掛屋の別館にある客室。外観は古民家だが、内部は近代的に改装されている=岡山県矢掛町矢掛

 ◇町まるごとホテルに

 イタリア発祥の分散型宿泊施設(アルベルゴ・ディフーゾ、AD)。「町ごとホテル」ともいわれるADのアジア第1号が岡山県矢掛町にある。同町に本社を置く「シャンテ」が運営する宿泊施設が中心で、人口減少に悩む地域の活性化への期待が高まっている。

 ■古民家を改修 宿場再興

 とっぷりと暮れた静かな旧宿場町。ぽつりぽつりと温かな明かりがともる。その多くがアジアで初のADからもれてくる。

 倉敷市の北西に位置する矢掛町。旧山陽道の宿場町で、参勤交代の大名が利用し、同時に800人が宿泊したこともあると言われている。本陣と脇本陣が共に残り、約800メートル続く街並みは、当時の面影を色濃く残している。

 AD「矢掛屋」はその街並みの中にある。本館は江戸時代の古民家などを全面的に改装し、内部はゆったりした近代的なホテルに作り替えている。露天風呂がある別館と合わせて15部屋あり、2015年に開業した。和食店、イタリアンレストラン、バー、温浴施設がそろう。

 近くには古民家を改修した貸し切り旅籠(はたご)「備中屋長衛門」、ギャラリーや売店を備えた宴会場併設の「あかつきの蔵」、「蔵INN」からなるもうひとつのAD「あかつきの蔵」もある。こちらは大部屋やシングルルームもある気軽な宿だ。

 ADは過疎に悩むイタリアの小さな村を、空き家や地元の文化を活用して活性化するために始まった。現在、同国の民間団体「アルベルゴ・ディフーゾ協会」が認定するADは約150施設にのぼっている。

 「矢掛屋」は今年6月、同協会のジャンカルロ・ダッラーラ会長が来日してADに認定され、同時に町全体も世界初の「アルベルゴ・ディフーゾ・タウン」に認定された。

 中心となって事業を進めてきた「シャンテ」の安達精治社長(64)は長年、銀行でホテルの再生に取り組んできた。その後、独立して山形県や静岡県など全国で様々なホテルの再生・運営を手がけてきた。安達社長は「ホテル事業を黒字にしたり、土地や建物を高く売ったりしてきたが、だんだん疑問を感じるようになった。ホテルを再生するだけではなく街や地域の人を元気にすることが大事ではないかと考えるようになった」。

 再生にあたったホテルで開催していた文化講座で山陽道の歴史を取り上げていたことから矢掛町を訪れ、宿場としての歴史を知ると興味がわいてきた。町と交渉した結果、町は寄贈されたものの荒廃していた古民家を改修。シャンテは子会社である運営会社「矢掛屋」を設立して「矢掛屋」をオープンさせた。

 かつては宿場町として栄えたが、近年は町内に宿泊施設はゼロだった。シャンテ系列の宿のオープンで、17年度の年間宿泊者数は6200人になった。安達社長によると外国人客は8%を占め、海外の生徒、学生の団体旅行もあるという。

 「定年退職後に生きがいを求め、週末だけ営業して年間100万円ほど稼ぎたいという人はいるはず。そんな人たちと協力してADを広げていきたい。データだけではなく経営者の人柄が重要になる」と話す。

 全国の過疎や空き家に悩む地域にADを広げるため、同町を「研修所」のようにして、経営に興味がある人たちを受け入れる準備を進めている。すでに、起業を目指して矢掛屋で働いている人もいる。町内では19年にAD「あかつきの蔵」にもう1軒、学生の合宿などを想定した大部屋のある宿を開設する予定だ。(菅野みゆき)

                   *

シャンテ 2007年2月設立。資本金1億円。従業員約80人(矢掛町内約60人)。「高崎アーバンホテル」(群馬県)や「広島北ホテル」(広島県)、「ザ・ビュー瀬戸内」(岡山県)を運営している。矢掛屋を運営する「矢掛屋」は100%子会社。15年3月設立。資本金4千万円。

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