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ちゅうごく経済【ちゅうごくの底力】

丸ヨ商店(島根県出雲市)

写真:工場で自然乾燥させているたどん=島根県出雲市高松町 拡大工場で自然乾燥させているたどん=島根県出雲市高松町

写真:笛吹勇気社長 拡大笛吹勇気社長

写真:火鉢に入れ、火をつけたたどん=島根県出雲市今市町 拡大火鉢に入れ、火をつけたたどん=島根県出雲市今市町

 ■「伝統残す」意志燃やす

 火鉢などに入れる炭の塊「たどん」。江戸時代に生まれ、昭和30〜40年代に最盛期を迎えたが、今や使う人はほとんどいない。それでも、島根県出雲市の丸ヨ商店は90年近くにわたって作り続ける。2年前、若手社長に代替わりし、新たな販路開拓を狙う。

 煙も炎も出ず、静かに燃えるたどんに手をかざすとほんのりと暖かい。木炭の粉をでんぷんのりで固め、丸くしたものだ。江戸時代に高価な木炭を使えない庶民が、木炭の粉を集めて作ったのが始まり。囲炉裏や掘りごたつ、火鉢の燃料として使われ、10時間ほど熱を持ち続ける。鍋による煮炊きも可能だ。

 有限会社丸ヨ商店は、1927年に福井県南越前町で木炭の卸小売業として創業した。34年に当時木炭の一大産地だった出雲市に移転して、人気のあったたどんの製造・販売も始めたという。

 戦後、掘りごたつなどでたどんを使う家庭が増え、50〜60年代には年間1千トンを出荷するほど大盛況。73年には、市内にたどん専用の工場を作った。しかし、石油ストーブや電気こたつが普及し、需要は減少。同社によると、最盛期に県内で30社ほどがたどんを作っていたが今は2社。出荷量も約10分の1まで減った。

 丸ヨ商店では現在、1日5千個ほど製造する。できたてのたどんはつやっぽい黒色で、ぷるぷると柔らかい。夏場は40日、冬場は2カ月ほど自然乾燥させると、地面に落としても足で踏んでも割れないほど堅くなる。

 工場長の須谷真さん(45)は、炭の粉とのりの配合比率に難しさがあるという。のりが多いとうまく丸くならず、逆に少ないと割れやすくなる。その日の湿気などにも影響されるため、毎日微妙に配合比率を変えるという。「練りには手を抜きません。工程を止めてでも、焦らずに納得がいく状態にします」

 3代目社長の笛吹(うすい)勇気さん(32)は2018年5月に就任した。元々パソコンの製造会社で働いていたが、11年に病気を患った先代社長の義父から後継ぎを打診され、悩んだ末に12年に同社へ。「伝統あるものを残してほしい」という先代の思いが決め手になった。自身の実家でもたどんを使っていた思い出も決断を後押ししたという。

 しかし、囲炉裏や掘りごたつ、火鉢がない家庭が多くなった。同社でもLPガスや灯油の販売が主力になっている。

 「何も分からない状態からのスタートだった」というが、新しい視点からの試みが功を奏している。

 社長になる前の笛吹さんの提案で、7年ほど前からインターネットでたどんの販売を開始したところ、47都道府県に販売実績ができた。それまで県外への販売はほとんどなかった。売り上げも下げ止まり、現在は年間100トンの出荷数を維持することができるようになったという。

 先代の死去に伴って、社長になったが「プレッシャーは大きい」という。それでも挑戦の姿勢は崩さない。若い世代にも親しんでもらうため、たどんに香料をつけ、お香のように使える商品を開発中だ。また、動物などの形に出来ないかといったことも模索中だ。「昔ながらの製法で伝統を守りつつ、付加価値をつけて若い世代にも使ってもらえるような工夫を凝らしていきたい」と話している。(市野塊)

 <丸ヨ商店> 1927年創業。木炭の小売りから、島根県に移転後、たどん製造に注力。LPガスや灯油、木質ペレットなどの販売も手がける。通販サイトを活用したインターネット販売のほかに、自社のウェブサイトを昨年10月に作成した。従業員は5人。

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