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金曜「楽しむ」【風のかおり 野のにおい 森山俊 平田剛士】

餌減らしてタンチョウ分散 平田剛士

写真: 拡大

写真:デントコーン収穫後の畑に集まるタンチョウたち。こぼれた実のほかに、堆肥(たいひ)にいるミミズも好んでつつく=鶴居村 拡大デントコーン収穫後の畑に集まるタンチョウたち。こぼれた実のほかに、堆肥(たいひ)にいるミミズも好んでつつく=鶴居村

写真:「サンクチュアリに飛来するタンチョウを毎日4回数え直し、給餌量を調整しています」と話す鈴木敏祥レンジャー=鶴居村 拡大「サンクチュアリに飛来するタンチョウを毎日4回数え直し、給餌量を調整しています」と話す鈴木敏祥レンジャー=鶴居村

●フリーランス記者 平田剛士

 世に「タンチョウ界」なるものがあるとすれば、そこでの今季一番のトピックは「給餌(きゅうじ)削減」である。

 環境省が釧路湿原周辺のいわゆる三大給餌場(鶴居村の2カ所と釧路市阿寒町の1カ所)で、この冬から給餌量を毎年10%ずつ削り、5年後に現在の半分にまで減らすことを決めたのだ。

  ○ ○ ○ ○

 もしや霞が関方面から、年間約26トン(昨年度実績)のデントコーン予算を削れと迫られたとか……?

 そうではなかった。これもれっきとした「保護増殖事業」。餌を減らして給餌場の誘引力を下げ、ツルたちが新天地に旅立ちやすいようお膳立てをする。

 人工給餌がどれほど野生タンチョウたちを引きつけているかは、北海道による越冬分布調査のデータが教えてくれる。たとえば今年1月26日午後の30分間に全道の生息地21市町村137カ所で実施した一斉カウントでは、確認された野生個体計1100羽あまりのうち、87%が釧路総合振興局管内の大小の給餌場に集中していた。

 撮影ファンや観光客にすれば、特別天然記念物の美しい鳥に必ず会える給餌場の存在はありがたい。

 でも度を越すと野鳥がリスクにさらされる。労せず胃袋を満たせる半面、もし高病原性鳥インフルエンザなどの重病が流行したら大量死を招きかねない。1952年12月時点のわずか33羽から、せっかく「千羽鶴」まで数を増やしたのに、そうなればまた逆戻りだ。

  ○ ○ ○ ○

 給餌量を減らして、タンチョウたちは平気だろうか。

 環境省は昨季、三大給餌場で試験的に短期間だけ餌を1割減らしてみた。試験の前後で、飛来数に目立った変化はなかった。期間中、空腹の個体が農作物を荒らし始めるような事態も起きなかった。

 そのうちのひとつ、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ(鶴居村中雪裡〈なかせつり〉、電話0154・64・2620、火・水曜休館)を管理運営する「日本野鳥の会」の鈴木敏祥レンジャー(29)は「人の給餌に頼らず自力で冬を越せるよう、自然採食地の整備も進めてきました」と話す。

 村内で結氷しない川を探し、タンチョウが好む甲殻類や魚類、貝類が豊富なポイントをこれまで15カ所ピックアップ。岸辺のヤブを切り開くなどして、国内最大級の鳥たちが離着陸しやすい環境を整えた。狙いは的中し、その全てでタンチョウの姿が確認されているという。

 「今後、少しでもたくさんのタンチョウが自然のままの姿を見せてくれたら」と鈴木さんは期待を寄せる。

 見据えるのは、道東から道央・道南方面への生息地分散だ。新しい受け入れ地に立候補する自治体もすでに出てきているのだが、そのお話はまた別の機会に。

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