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戦後70年 北海道(2)【ダークツーリズム】

(9)十五糎加農砲掩体跡(室蘭市)

写真:ツタに覆われた十五糎加農砲掩体跡の側面。右側に砲眼がある=室蘭市小橋内町1丁目 拡大ツタに覆われた十五糎加農砲掩体跡の側面。右側に砲眼がある=室蘭市小橋内町1丁目

■港望む高台、一度も火噴かず

 室蘭港を望む高台の住宅街を進むと、ツタに覆われたコンクリートの塊が現れた。「十五糎(せんち)加農砲(かのんほう)掩体(えんたい)跡」だ。戦争末期、噴火湾方向からの敵艦を迎撃するカノン砲を据えるために作られた。

 1945年7月15日、米艦隊が登別市沖約28キロに現れ、室蘭市内へ860発の艦砲射撃を浴びせた。400人を超える住民らが犠牲、製鉄所などが破壊された。カノン砲は据え付け中で、一度も火を噴かず終戦を迎えたという。

 構造上、砲口は米艦に向かず、撃てたとしても射程は約26キロ。艦隊までは届かなかった。戦跡に詳しい室蘭市教育委員会の谷中聖治さんは「日米の情報量の差を示す遺物だ」と説明する。

 近所の人によると、戦後、地主が土地を手放し、その息子がわずかに残った掩体に住んでいた。40年ほど前には別の人物の手に渡り、鉄球をたたきつけて壊そうとしたが、厚さ1メートルを超える壁はびくともしなかったという。

 掩体は狭い私道沿いにあり、徒歩でのみ見学できる。向かいに住む今力(こんつとむ)さん(86)は市内の造船所に学徒動員され、特攻兵器を作っていて艦砲射撃に遭った。「平和のありがたみを後世に伝える遺産。みんなで温かく見守っている」

(三上修)

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