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土曜「考える」【北の文化】

さらば「アタックヤング」 明石英一郎 

写真: 拡大

写真:「アタックヤング」オンエア中の筆者=1990年ごろ 拡大「アタックヤング」オンエア中の筆者=1990年ごろ

●明石英一郎 STVアナウンサー 

■アナの「放し飼い」壮大な実験室

 1970年10月に始まった深夜のラジオ番組「アタックヤング」(STVラジオ)が、この3月で45年半の歴史に幕を下ろしました。私は88年10月から10年半、ミュージシャンのKANさんに次いで2番目に長く担当しましたが、今思うと私はラジオで「ビックリハウス」をやりたかったのだ、と思います。

 ビックリハウスとは、70年代にパルコ出版から発刊されたサブカルチャー雑誌。若き日の糸井重里、とんねるずらジャンルを問わぬメンバーが好き勝手をやっていました。基本は読者投稿で、世の中のあらゆる現象を独自の目線で面白がるのです。学生時代に熱烈な読者だった私がアナウンサーになったのですから、同じことを電波媒体でやろうと思うのは当然。また、“アタヤン”にはそれを許容する「おおらかさ」もありました。同じパーソナリティーの田中義剛さんの絶妙な表現を借りると「アナウンサーの放し飼い」です。

   ◇ ◇ ◇

 10年半の間、私が何に神経を使ったかを、公の場で初めてお伝えします。最も重要なのは、私とリスナーは同等ではあるが、決して1対1の関係ではない、と理解してもらう事でした。テレビと違ってラジオは1対1のパーソナルなメディアなので、「ラジオの前のあなた」と呼びかけるという考えが一人歩きしていますが、それは違います。私は「あなた」と呼びかけた事は一度もありませんし、これからも無いでしょう。あくまでも、ラジオの前の「諸君」「皆さん」。基本は私1人に対して多数です。なぜか? リスナー同士がお互いにその存在を意識し合わなければ番組は発展しませんし、何よりも不健康だからです。真の意味でのパーソナルとは、私を含めてリスナー相互の精神的な距離が近い状態に他なりません。

 次に神経を使ったのは、アタヤンは若いリスナーにとっては単なる「跳び箱」に過ぎない事。成長に従ってどんどん番組から去って行くのが当たり前。だから私は「受験生は聞くな」と明言しました。深夜放送でよく耳にする私の嫌いな言葉は「僕の放送は、休み時間だと思って、受験勉強の手を休めて聞いてね!」です。人生を左右するのですから、そこは「聞くな」でしょう!

 でも、さすがに自社の放送です。上役から怒られるかな?と思いましたが、一切お咎(とが)めなし。まさに放し飼いの真骨頂!でした。また、常連のためだけの放送にしないようにも心を砕きました。番組を常に拡大再生産に向けるには、閉鎖的なのは禁物。投稿の常連に敬意を払いつつ、新しい参加者も受け入れる風土を作る。具体的には私に媚(こ)びる投稿の排除です。パーソナリティーと取り巻き集団の放送に魅力はありません。

   ◇ ◇ ◇

 アタックヤングと言う番組名ですから若者向け番組に思われがちですが、実は私のターゲットは常に「同世代の同性」でした。「友達が聞いて、面白がってくれるだろうか?」が、私のトークの全ての動機です。20代後半で担当して30代後半まで、生活も話題も変わります。若者だけを意識していたら、続かなかったでしょう。同世代に向けて喋(しゃべ)っていると、若い層が背伸びをして聞いてくれていた、それが放送の現実なのかも知れません。

 最近はラジオとテレビを比較して「ラジオならではの……」という主張をよく聞きますが、果たして意味のある事でしょうか? 映像の有無で放送の核心が変わるはずがないのです。私にとってアタヤンとは、それを理解させてくれた、まさに「電波の実験室」でした。

     ◇

 STVアナウンサー 1960年、旭川市生まれ。84年、STV入社。編成局専任局長。アタヤン時代には下ネタトークでも人気。現在はテレビ「どさんこワイド!!朝!」、ラジオ「それ行け!オッサン大作戦」を担当。

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