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水曜「生きる」【けんこう処方箋】

薬物依存治療、財政的支援を 齋藤利和

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写真: <イラスト・佐藤博美> 拡大 <イラスト・佐藤博美>

●幹メンタルクリニック院長・札医大名誉教授 齋藤利和

 清原和博氏、ASKA氏と有名人の覚醒剤事件が続いた。ある情報番組で、薬物問題に詳しいとされる知識人が「DARC(ダルク)のような施設を政府はもっと作るべきだ」と発言しているのを聞いて驚いた。

 覚醒剤を始めとする薬物依存症者の治療・援助プログラムを持った組織が少ないという問題意識は同感だ。だが、DARCは覚醒剤依存症者だった近藤恒夫氏が設立したもので、医療・行政組織が作ったものではない。自助組織であることが依存症者の回復に力を発揮しているのだ。そして、医療は治療プログラムを作り、自助グループとの連携も視野に入れた依存症者の治療体制を整えるべきなのだ。

 20〜30年前に覚醒剤依存症者による暴行、殺人事件が社会を震撼(しんかん)させて以来、司法は薬物依存症者に厳しくなり、刑務所で「更生」させる取り組みを続けている。だが、再犯率は高く、成果があがっているとは言えない。違法薬物使用者の多くは依存症者である。自助グループや医療機関などの援助なしに「更生」させることは不可能に近い。

 ようやく最近、一歩踏み出し、受刑者を早期に釈放して治療を受けさせる制度がスタートした。大きな前進には違いないが、問題がある。薬物依存症者の治療を担当できる医療従事者、特に医師が極端に少ないのだ。

 厚生労働省は治療者の養成に乗り出した。厚労省の依頼を受けた日本アルコール・アディクション医学会主催の「依存症に対する集団療法研修会」が昨年12月に3日間開かれた。研修内容は薬物依存の概念、対応、司法との関係、認知行動療法、治療プログラム、福祉的援助、家族支援、自助グループについてなど多岐にわたった。参加者の熱気は相当なものだった。

 この研修を受ければ診療報酬が加算されるのだが、その額はコーヒー1杯分にもならない。現行制度では集団療法や集団認知行動療法も、診察と同日に実施した場合は診療報酬としての算定ができない。こうした環境では、ただでさえ敬遠されがちな薬物依存症者の治療が拡大していくことは難しい。

 これまでは治療者個人の情熱に依存している面が大きかった。依存症に対する集団療法研修会の参加者の熱気もそれである。

 しかし、依存症者の治療の財政的な基盤を考え直さなくては、政府が決断した大きな一歩も根付かないのではないかと案じている。

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