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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

国民の声重視、食の安全議論 岸玲子

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

●北大名誉教授・環境健康科学特別招聘教授 岸玲子

 「けんこう処方箋(せん)」には、健康や安全を維持する国の仕組みづくりと関係するものもある。

 私は今年初めで、厚生労働相の諮問機関「薬事・食品衛生審議会」の食品衛生分科会会長の任期を終えた。食品衛生に関して、国民の多様な声を受け止めながら議論をまとめていくという責任が重いものだった。

 過去10年間に議論されたのはBSE(牛海綿状脳症)に関する対策や東京電力福島第一原発事故後の食品の放射線基準値の設定、ユッケなど生肉を摂取することによる食中毒の問題など。審議では毎回、国民の健康への影響を深く考える必要があった。

 日本では食品の安全の基本は、戦後間もない1947年に制定された食品衛生法で決められている。この法律に沿って、食品の安全性確保のための必要な対策と規制を講じ、食に起因する公衆衛生上の危害の発生を防ぐことになっている。具体的には、食品と食品添加物、牛乳・乳製品、器具・容器包装などの基準が決められている。食品製造、加工、運搬などの取扱規定もある。

 2003年までは、厚労省や農林水産省がリスク評価とリスク管理の両方を担っていた。だが、新たに食品安全基本法が制定され、内閣府に設置された食品安全委員会がリスク評価とリスクコミュニケーションを担当することになった。

 国内でもBSE感染牛が見つかったことが発端だった。リスク管理する側の都合で科学的に判断すべきリスク評価がゆがめられるなど、国民の食品に対する安全・安心が損なわれないようにしようという狙いだ。

 食品安全委員会は厚労省などの要請を受け、また独自に必要な調査検討をして、添加物、農薬、微生物といった12の専門調査会で食に関するリスク評価をしている。この評価書の結果を国としてどう扱うかを審議会で決めるのが、リスク管理である。

 過去の審議会は、TPP(環太平洋経済連携協定)を推進したい立場の政府の思惑や、農薬を使ってでも可能な限り収益を上げたい農業経営上の事情などが複雑に交錯していた。しかし、食の安全に対する日本国民の関心は極めて高い。消費者である国民の意見が最も重要と考え、私は議論をまとめてきた。

 退任のあいさつの後で「常に安全の側に立っていた」との評を同僚委員からもらい、大変うれしかった。

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