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はこだて和牛、人気急上昇
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■木古内町特産ブランド 新幹線開業効果
木古内町特産のブランド牛「はこだて和牛(あか牛)」が注目されている。肉質には元々定評があり、北海道新幹線の「開業効果」で需要が急増しているが、生産頭数が希少で子牛不足も深刻だ。生産者や町は安定生産を目指して動き出した。
木古内駅前の観光スポットで、今年1月までのオープン初年に55万人が訪れた道の駅「みそぎの郷きこない」。ここの人気商品が、「はこだて和牛コロッケ」(税込み250円)だ。
地元の「スーパー サンメイト」が製造。4時間煮込み凝縮された肉のうまみが受け、2016年は約7万5千個と前年の5倍も売れた。同社は製造機械を導入し、1日最大1400個とこれまでの2倍に増強。冷凍商品の発売も始めた。
地元の「久上(きゅうじょう) 工藤商店」は1年ほど前から、「はこだて和牛 牛鍋」(税込み888円)を町内や自社のサイトで発売。昨年夏にテレビ番組で紹介されると、関西圏を中心に注文が殺到し、一時は2カ月待ちとなった。工藤秀範社長は(60)は「あまりの反響に驚いた」と話す。
はこだて和牛は、1992年ごろから販売が始まった。あか牛は黒毛に比べ脂(サシ)が少なくうまみを豊富に含む赤身肉が人気。
町内の「あか牛4人衆」と呼ばれる4戸が年間約220頭を出荷するだけだ。えさにビールかすを加えて肉の甘みを出すなど独自の方法で育て、2015年には、あか牛の肉質を競う全国品評会で最高賞を受賞。町のゆるキャラ「キーコ」も、はこだて和牛がモチーフで宣伝に一役買う。
増産が期待されるが「現状維持も難しい」と関係者の表情は険しい。通常、生後9カ月ごろの子牛を購入し25カ月前後で出荷するが、全国的に繁殖農家の高齢化などで子牛不足と価格高騰が続いているためだ。
独立行政法人「農畜産業振興機構」によると、15年度に市場で取引されたあか牛の肉用子牛は4200頭で11年度から15%減、平均価格は15年度が約59万円で11年度の2倍近くに値上がりした。
「4人衆」の一人で、年間約90頭を出荷している東出雅史さん(51)は、自身も繁殖を手がけ、足りない分の子牛を購入している。5年ほど前は道南で1頭25万円ほどだった子牛は今では約60万円だという。数年前から必要な数の子牛を道南では確保できなくなり、熊本で購入している。
東出さんは今年度、牛舎を新設した。町が特産品の生産を支援しようと今年度から始めた、牛舎の建築費の1割を助成する仕組みを活用。繁殖を手厚くし、出荷までの「一貫体制」を整え、母牛を30頭ほど増やす計画だ。町によると、この制度で町内では母牛が新たに計約50頭増える見込みで、町は母牛の購入費用も2割助成している。
「新幹線で訪れた人がおいしさを伝えてくれ、認知度が上がった。消費者が求める質の高い肉を提供していきたい」。東出さんはそう意気込んでいる。
(磯崎こず恵)
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