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08月22日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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水曜「働く・暮らす」【逸品 ひとモノ語り】

室蘭・ボルタ工房の「ボルタ」

写真:自分たちの手で生み出した「ボルタ」たちに目を細める鈴木健一さん(左)と稲月幹也さん=室蘭市輪西町1丁目 拡大自分たちの手で生み出した「ボルタ」たちに目を細める鈴木健一さん(左)と稲月幹也さん=室蘭市輪西町1丁目

■ボルトナットの人形 紡ぐ物語

 春節でにぎわう新千歳空港。土産物店で中国人観光客が楽しそうに回転式の商品棚を品定めしていた。視線の先にあるのは身長5センチの鉄の人形「ボルタ」。コミカルな100種類のポーズが人気だ。

 作っているのは室蘭市輪西町の「ボルタ工房」。商店街の空き店舗を利用した工房で、12人の職人が手作りする小さな人形は、地域の期待を背負っている。

 「鉄のまち」室蘭で、輪西町は、新日鉄(現・新日鉄住金)の門前町として発展した。高度経済成長期、約2万人いた住民は、製鉄所の「縮小」とともに減り続け、現在4千人を割り込む。

 「もう一度、まちに活気を」。地元の若者らが2005年に開いたイベントで、展示した鉄の人形が思わぬ人気を集めた。「鉄のまち」らしくボルトやナットで作った人形を「ボルタ」と名付けて製品化。06年4月に発売すると、用意した20種類、500個が数日で完売した。

 その後、室蘭工大などの協力も得て100種類まで増やし、ポーズごとに物語も設定。注文は徐々に増えたが、全工程手作りの基本姿勢は守り続けた。

 職人の一人、鈴木健一さん(77)は、ボルタ誕生当初から関わる。大手電機メーカーではファクスや携帯電話、おもちゃメーカーではプラモデルの開発を担当。一貫して物作りの現場を歩いた技術者は、定年後に出会った新たな物作りに、やりがいを感じている。

 ラジオペンチでネジを曲げ、仕様書に従ってボルトやナットをミリ単位の正確さでハンダ付けする。「一から十まで全部1人でやるので自然と思いがこもる。手にしてくれる人の表情を思い浮かべながら作る楽しさは、最新技術の開発とは違った喜びです」

 技術者、公務員、主婦……。20代から70代の職人は経歴も様々。「共通項は物作りが大好きということだけ」。工房の事務を一手に引き受ける稲月幹也さん(54)は笑顔で付け加えた。「でも、技術は確か。破損などの苦情や返品は、まずありません。ものづくりで生きてきたまちの誇りです」

 (長谷川潤)

    ◇

 「ボルタ工房」は、任意団体「てつのまちぷろじぇくと」(現NPO法人テツプロ)が2006年に開設。100種類の「ボルタ」(室蘭市内では650円)のほか、ボルタのガールフレンド「ナッティ」とのカップルシリーズなど企画商品も手がける。繁忙期でなければ、デザイン料など負担で特注ボルタ製作の相談にも応じる。

 工房や室蘭市内の道の駅などのほか、新千歳空港、登別、洞爺湖、定山渓などの温泉地でも販売している。問い合わせは同工房(0143・47・8233)へ

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