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水曜「生きる」【現場一話】

路線バス+ヤマト運輸、「貨客混載」

写真:足寄―陸別間の十勝バスに宅配便の荷物を積み込む、ヤマト運輸の作業員=昨年8月、足寄町、北海道運輸局提供 拡大足寄―陸別間の十勝バスに宅配便の荷物を積み込む、ヤマト運輸の作業員=昨年8月、足寄町、北海道運輸局提供

写真:十勝バスの座席に固定された宅配便の保管箱。「貨物も大事なお客様と考える必要がある」と同社 拡大十勝バスの座席に固定された宅配便の保管箱。「貨物も大事なお客様と考える必要がある」と同社

■路線維持と配達員不足解消の知恵

 道北の名寄市と隣の下川町を往復する路線バス「名士バス」(名寄市)の座席に昨年7月から、ヤマト運輸(東京)のマークが描かれた大きな緑色の箱が載せられている。中には通常のヤマトのトラックと同じく様々な荷物が入っている。

 バスの起点で、ヤマトの作業員が箱に荷物を積み込む。乗客を乗り降りさせつつバスがターミナルに到着すると、待ち構えていたヤマトの作業員が荷物を受け取り、トラックに積み替えて配る。復路も同じ。これが「貨客混載」と呼ばれる取り組みだ。

 国主導で昨年7月から実証実験をしたところ、バス業界と物流業界の双方から好評で、9月の実験終了後、そのまま本格運行に移行した。

 ヤマトの那須大介・道支社マネジャーによると、名寄市と周辺7市町村を受け持つ名寄支店の場合、エリア面積(約4400平方キロメートル)は山梨県とほぼ同じ。だが人口は1割以下の約7万人だ。1回あたりの集配送の距離は長いのに荷物は少ない。

 一方、バスの乗客も平成に入り半減し、バス会社も国などからの補助金で路線網を維持している所が多い。バス会社は荷物を運ぶことで輸送運賃を得られる。ヤマトも実験期間中、トラックの輸送距離を計2070キロ減らせた。

 さらに、下川町では地元農家が育てたトマトを午後の名寄行きバスに載せることで、当日中に旭川空港経由で東京への出荷が可能に。地元の相場より4倍近い値がついたという。新年度からは出荷量を大きく増やす。

 いま、乗客に交じりヤマトの荷物を載せた路線バスが、道北と道東の計4カ所で走っている。過疎地域が8割の道内は、「高齢化と若手の採用難で運転手不足が深刻化する」(ヤマト)といい、バス路線維持とドライバー不足の解消に向けた「知恵」というわけだ。

 貨客混載は本州で先行するが、バスの改造費用がかかるのが課題だった。だが国は、道内では改造しないようにすることで、バス会社が参加しやすくした。5月には、深川市周辺でも始まる予定だ。ヤマトは少なくとも道内20地区で貨客混載が見込めるとしている。

 札幌大の千葉博正教授(交通・物流システム論)は「人口減少で旅客の輸送需要は簡単には増やせないが、貨物の需要はルートを整えれば増やせる」と指摘。今後は郵便物の輸送など業界全体の効率化を進めるべきだと話す。

 (上地兼太郎)

■過疎化進む中山間地で活躍

 路線バスは「少量の郵便物や新聞紙、その他の貨物」を運ぶことが法律で認められている。だが荷物の積み下ろしでバスの運転手の負担が増えることや荷物が壊れた場合の補償問題などで貨客混載は定着しなかった。現在、過疎化が進む中山間地を中心に、ヤマトが岩手・愛知・熊本・宮崎各県で進めている。同業大手の佐川急便(京都市)は、新潟県の鉄道、北越急行の客車に4月以降、荷物を載せて運ぶ。同社は北陸新幹線沿線の第三セクターで経営環境が厳しく、路線維持の新たな収入源として期待されている。

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