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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

変化する社会、家庭医の姿は 草場鉄周

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

●北海道家庭医療学センター理事長 草場鉄周

 最初は1年ぐらいと思いながら2014年6月に開始した本連載も、3年近く続けさせていただき、今回が最後となる。

 家庭医については語り尽くした感もあるが、締めくくりとして、将来の日本の医療のあるべき姿と、そこで活躍する家庭医像について、期待を込めて記していきたい。

 おそらく変わらない日本の将来像は、少子高齢化と人口減少が進むことであろう。さらなる高齢化の進展に伴い、多疾患を合併する高齢者が、慢性疾患とつきあいながら生活の質を高めていくことが重視される。

 また医療技術の高度化によって、遺伝子レベルで疾患のタイプが分類され、一人一人に合わせた診療が展開される。そして科学技術の進展は著しく、囲碁や将棋の世界で有名なAI(人工知能)を用いた診断や治療のツールも当たり前のように使われ、遠隔医療によって空間を隔てた診療やケアも容易になっている。

 こうした変化の中、画一的で標準的な診療を全国で公平に提供する医療モデルから、国民一人一人の遺伝情報や健康観、さらには家族背景にまで配慮していくような個別性の高い医療モデルへの変化が期待される。また、AIや遠隔医療などがカバーできる領域については、人間の役割は減少する。それだけに人と人とのふれ合いや関係作り、そして感情面への配慮など、人間同士でしか提供し得ない領域に習熟することが一層求められるだろう。

 こう考えると、高度医療や専門技術が強調されがちな現代の医療の中では、どこかレベルが低く見られがちな家庭医療の様々な特徴こそが、これからの21世紀の医療では、ますます重要になっていくことがおわかりいただけるだろう。

 多様性に富む地域ニーズに応じて柔軟に診療内容を変え、時代の変化に応じて生涯学習を続けながら、常に幅広い健康問題に対応できるよう自己研鑽(けんさん)をし続ける。これにより、家庭医は、大きく変化していく日本の社会の中で、常に医療の最前線で柔軟性を持って国民をサポートする役割を担うことができる。

 21世紀半ばの2050年、筆者は75歳になっている。後期高齢者を迎えた自分が、安心して次世代の素晴らしい家庭医たちにこの国の医療を任せられることを心より期待しながら、筆を置きたい。

 (草場さんのコラムは今回が最終回です)

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