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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

いまだに増えている川崎病 高橋豊

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

●KKR札幌医療センター・小児科特任部長 高橋豊

 川崎病は当初、「急性皮膚粘膜リンパ節症候群」という病名で、川崎富作先生が1967年に報告した病気だ。日本人に多いが世界中で発生し、どこの国でも川崎病で通じる。

 主に4歳以下の子どもに多く、80年代の二度の大流行を除けば、例年6千人程度であったものが、2000年代に入って1万人を超え、一昨年は1万5千人を超えた。私たちの施設でも年間40〜60人程度が入院する。

 いまだに原因も、増えている理由も不明だ。発症に季節性、地域性、流行があり、何らかの感染因子が関わると推測されている。

 川崎病は全身の中小動脈に炎症を起こす病気だが、特に心臓に血液を送る冠動脈に強く起こり、こぶ(動脈瘤〈りゅう〉)ができることがあり、そうなると心筋梗塞(こうそく)をおこす心配がでてくる。川崎病の死亡率は0・01%と高くはないが、0・72%に動脈瘤を残す。

 (1)高熱が続く(2)様々な形の発疹が出現する(3)目が赤く充血する(4)唇が真っ赤に、舌がイチゴ状に赤くなる(5)手足が硬く腫れる(6)首のリンパ節が腫れて痛がる――などの兆候がある。このうち五つがそろうと、検査結果などを参考に診断する。しかし、なかなか兆候がそろわない患者さんも多い。

 発熱10日目までに解熱させられれば動脈瘤を残す確率は低くなるので、それを達成するために早期治療を目指す。診断基準には当初、「5日以上の発熱」も含まれていたが、今は外された。5日も待っていられないからだ。

 兆候が五つそろわなくても、可能性が高いと判断すれば治療に踏み切ることもしばしばだ。この病気を疑った場合は頻繁に患者さんの元を訪れ、新たな兆候がないか確認することになる。

 治療はアスピリン内服とガンマグロブリンの大量投与をまず実施するが、この初期治療で炎症を抑えきれないお子さんが約2割いるので、再度のガンマグロブリン、ステロイド、生物学的製剤などの投与による治療を選択し、10日目までの解熱を目指す。なんとか間に合って解熱した時のほっとした気持ちや、すっきり解熱しないまま徐々に冠動脈が腫れて来た時の無力感は、多くの小児科医が経験するものだ。

 私たちの施設でも数人に大きな動脈瘤を残し、残念な思いでいる。今後の治療の進歩により、すべてのお子さんがこの後遺症を残さず退院できることが、我々の願いだ。

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