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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

保育へのビジョンと予算を 岸玲子

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写真:イラスト・佐藤博美 拡大イラスト・佐藤博美

●北大名誉教授・環境健康科学特別招聘教授 岸玲子

 日本では今、子どもの保育について関心が高い。「保育園落ちた」と認可保育施設に入れない待機児童が、この4月には全国で2万人を超えていると報道されている。私も3人の子どもを9年間、保育園で見ていただいたので、大変さは身にしみてわかる。

 最近、目からうろこの話を聞いた。フランスでは合計特殊出生率が2006年に2・0を超え、この10年間同じ水準で推移しており、少子化を克服しつつあるとされる。その理由がわかったのである。

 まず、日本に比べると労働時間が短い。週35時間労働制で、働く父親、母親が家庭で子どもと過ごす時間を増やしている。2番目の理由は男性の育児休暇の普及だ。子どもが生まれた直後の2週間、男親はほぼ100%育休を取り、名実ともに晴れて「父」になるのだそうだ。

 第3に3歳からのプレスクール(幼児教育)で、ほぼ全員が保育園ではなく保育学校に行く。授業料は国費で賄われる。ただし3歳未満の子の保育園は足りず、母親アシスタントや共同ベビーシッターが親をサポートしている。いずれも地域の母子保健センターの指導・監督下にある認可施設で、保育にあたる人は正社員格の雇用が原則という。

 私の息子家族はフランスの隣国スイスに住んでいる。第2子の誕生直後、職場から2週間は休むように言われ、生まれたばかりの子と3歳の娘をゆっくり世話したという。孫娘が通う保育学校は、幼稚園と保育園が一体になったような運営で、3歳児クラスは幼児14人に先生は2〜3人。お昼寝の後、3時半か夕方5時過ぎに迎えにいく。

 この孫は日本では認可保育園に入れず、電車で都心の認証保育園に通っていた。当時この保育園では1歳の男の子が亡くなるという悲しい出来事があった。

 乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクがあるとされるうつぶせで、しかも「昼寝後、泣くことが多い」との理由から1人別室で寝かされていた。異変に気づくまでに職員が表情をしっかりと見たり、呼吸を確認したりしなかった。「救命処置も満足にできず、経験の浅い職員だけで手探りで保育をしていた」と専門家は指摘した。

 日本では保育士の資格を持っていても、保育現場で働かない人も多い。給料や諸休暇など保育士の待遇が幼稚園教諭に比べて低いからだ。「子どもは社会全体で育てる」という国のビジョンと子育て支援の予算配分が必須である。

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