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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

「診療の補助」で治療を円滑に 大日向輝美

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

 看護師というと、注射を思い浮かべる人が多いと思う。保健師助産師看護師法は、看護師の業務を「療養上の世話」と「診療の補助」と定めている。注射は「診療の補助」に含まれる行為の一つだ。今回は「診療の補助」についてお話ししたい。

 「診療の補助」とは、医師または歯科医師の指示に基づいて、人を傷つけるリスクの低い医療行為の一部を実施したり、診断や治療を円滑に進めるために介助・補助したりすることだ。

 「診療の補助」の中で、注射の他に接する機会が比較的多いのは「採血」だろう。

 新人看護師として働き始めた頃、先輩看護師に「採血の達人」がいた。彼女はどんな患者の血管にも一発で針を刺し、見る間に血液を採取した。皮膚の表面から血管を確認できない時も、指先の感触で内部の血管を探り当て、素早く的確に目的を達した。

 神業のような達人の採血は「痛くない」と専らの評判であった。採血技術が未熟で患者に苦痛を与え続けていた当時の私は、彼女の技のすごさに感動したものだ。

 本筋に戻ろう。

 看護師がする「診療の補助」は、注射や採血のように針を刺す行為だけではない。

 薬剤の投与やカテーテルの挿入、チューブ類の管理、医療機器の使用と操作、血液や尿などの採取、検査や治療時の介助、傷の手当てなどがある。症状や兆候、バイタルサイン(体温・脈拍・呼吸・血圧のこと)を確認し、医師に報告することも含まれる。

 しかし、実際の看護活動において「療養上の世話」と「診療の補助」は容易に区別できない。例えば、人工呼吸器を装着している患者の清潔保持や体位変換、排泄(はいせつ)介助などはその人の生活行動を補う「療養上の世話」だが、患者の生命を支える人工呼吸器の操作や安全確保は「診療の補助」としての意味を持つ。

 かつて「診療の補助」は「医師の補助」と誤って解釈されていた。だが、そうではない。看護師は、健康回復を願う患者の利益のために、医師の診療を補助するのだ。

 病気の診断・治療は医師がする。しかし、治療効果を最大に発揮させるには、看護師による「療養上の世話」と「診療の補助」が不可欠だ。

 さて採血下手だった新人の私は、腕を差し出してくれた温かい人たちのお陰で、採血の技を磨いていくことができた。「達人」の域には達しなかったが「採血上手」くらいにはなれたと思う。

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