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金曜「ライフ・楽しむ」【わたし色】

異なる環境を知る大切さ 美馬のゆり

写真: 拡大

 ●公立はこだて未来大教授・美馬のゆりさん

 旅行で外に出てみる。北海道から、あるいは日本から。すると、今まで知らなかった風景や食べ物に出会うだけでなく、そこに住む人々の習慣や暮らしも見えてきます。

 自分の所にはない良さや、取り入れられそうなことに気づくこともあります。自分の住んでいる所の良さ、ありがたさを改めて感じることも。

 私は生まれてから40年間、ずっと東京で暮らしていました。通勤や通学に片道1時間は当たり前。2時間以上かかっていた時もあります。それもずっと満員電車でしたが、何の疑問も持っていませんでした。

 17年前に函館に引っ越してきて、こんなに豊かな暮らしがあったのかと驚きました。気候や食べ物だけでなく、時間の流れ、人との近さが違うのです。

  □  ■  □

 引っ越して間もない頃、小学校低学年だった息子と歩いていたら、ある年配の方が近寄ってきて、「ほら、お空に虹が出ているよ。見てごらん」と声を掛けてきました。見知らぬ人から声を掛けられるなんて、東京では考えられません。

 大村はまは、戦前・戦後を通じて50年以上、一現場教師の職にあり続けた国語教育の研究家です。その著作の中に、二つのものを比べて考えさせ、それを言葉にすることの大切さを説いている箇所がありました。

 一つのものだけを見て、何の基準もない所では、よいも悪いも言うことはできない。二つの違いを意識し、考えること。それを言葉にしていくこと。そういった経験を繰り返していくことが重要だというのです。

 何を感じ、そこからどう考えを深めていくか。言葉にすることは、自分の考えを他人に伝えるためだけでなく、自分のためでもあるのです。

 最近、新聞やテレビ、ネットで様々なニュースが流れています。自分に心地よい意見だけを聞くのではなく、違う見方、異なる意見があることを知る。そうすることで、その中に共通点や、違いを包み込むようなもう一つ大きな考え方を見つけられる可能性もあります。

  □  ■  □

 「なんか変だな」「これ嫌だな」「これはいいな」と思ったら、なぜそう感じたのかを一度立ち止まって考えてみる。異なる環境に身を置くという旅行の経験は、自分のいる環境と比べることを知らず知らずのうちに私たちにさせているのかもしれません。

 旅行が楽しいように、普段と異なる「風景」を見て違いを感じること、それを言葉にして語ることは、私たちの心を豊かにしてくれるに違いありません。    

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