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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

新人看護師育成、改革のとき 大日向輝美

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写真:<イラスト・佐藤博美> 拡大<イラスト・佐藤博美>

●札幌医大保健医療学部長 大日向輝美

 私が新人看護師として働いたのは、30年以上前のことだ。人の生死に直結する現場で、ミスを犯す不安につきまとわれる日々だった。気の抜けない患者を受け持った夜は、何事も起こらないようにと願いながら日の出を待った。臨床現場は分からないことだらけで、翌日のために眠い目をこすりながら専門書に目を通した。

 なぜこんなことを思い出したかというと、新人看護師の苛酷(かこく)な勤務実態を取り上げたドキュメンタリー番組を見たからだ。

 日本看護協会の2016年の調査によれば、新人看護師の就職後1年以内の離職率は7・8%だ。一時は10%を超えていたから、離職防止の取り組みが一定の効果を上げている。とはいえ、この年の国家試験合格者数からすると、約4200人が職場を去ったことになる。

 新人の職場定着を困難にしている最大の要因は、入職時に有する能力と医療現場で求められる能力とのギャップの大きさだ。

 医療の高度化、患者の高齢化など、医療現場の環境変化は著しい。20年前に比べると、入院日数は半減し、全身麻酔による手術や救急搬送は倍近くになった。最近では入院患者の半数が75歳以上で、全患者の20%が認知症または予備軍との報告もある。

 このような医療環境において、看護師に求められるものは質・量ともに増大している。一方で、看護師養成の教育時間は、かつてより減っている。修業年限3年の教育課程の場合、1988年までは3375時間だったが、現在は3千時間。うち実習は1770時間から1125時間と4割近く減った。

 私の学生時代、看護学は大きく4領域だったが、現在は8領域。1領域の実習時間は激減し、権利擁護や医療安全との関係で医療行為はほとんど体験できなくなった。

 新人看護師は、そもそも苛酷な環境の中で、知識や技術は未熟なまま、人の命と安全に向き合っている。その厳しさは、30年前の比ではない。高い能力が求められる現場で、彼らの多くが自信を失い疲れ果て、夢破れて、辞めざるをえない状況に追い込まれていく。

 現在、そして将来の医療・看護を担い、人々の健康を支えていくのは若い世代だ。新人看護師が生き生きと働き続けることができるように、卒前・卒後の人材育成のあり方を改革しなければならない時期にきている。

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