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水曜「働く・暮らす」【けんこう処方箋】

化学物質 世界規模で考えて 岸玲子

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写真: <イラスト・佐藤博美> 拡大 <イラスト・佐藤博美>

●北大名誉教授・環境健康科学特別招聘教授 岸玲子

 私たちは2001年に「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」を立ち上げた。現在まで15年以上の長期にわたって、子どもたちの先天異常や出生時の体格、生後の発育・発達、小児期の感染症やアレルギー疾患、第2次性徴との関係などを調べている。

 なぜ子どもたちが重要なのか。子どもたちは誰しも個々の可能性を最大限に発揮すべき存在で、子どもは未来社会そのもの、子どもの発達は国の発展の基本だからである。

 しかし、子どもたちが環境上の脅威に最もさらされることは、十分知られていない。身の回りの化学物質は数万種類に上るが、その中で個々の化学物質のリスクが実際どのくらい大きいのか、障害を受けやすいのはどういう方なのか、胎児期にさらされることと生後の環境リスクはどう違うのか、貧困や栄養不良などによっても影響は異なるのか――など、実はわかっていないことが非常に多い。

 子どもの脆弱(ぜいじゃく)性を考える時、忘れてならないのは「疾病の起源が、胎児期あるいは小児発達期にあるという仮説」だ。大人になってからの病気と考えられる肥満や糖尿病、がんや高血圧なども、一部は胎児期や幼少時期に原因があるという考え方が知られるようになった。これにより、生涯を通じての予防医学の重要性が認識されつつある点である。

 欧米では、流産防止ホルモン剤を投与された女性の娘に子宮がんが多発した報告や、第2次大戦時には、有名なオランダの飢餓で極端な低体重で生まれた子が成人期に肥満や糖尿病など代謝疾患に罹患(りかん)するリスクが高くなったなどの例がある。日本では、胎児期の水銀暴露が最も重篤な後遺障害を引き起こしている。

 北海道スタディが調べた結果では、日本の妊婦は、ダイオキシンやフッ素系難燃剤にさらされることで、濃度によっては低出生体重児が生まれたり、18カ月以降に中耳炎や肺炎などの感染症にかかりやすくなったりした。また7歳児でぜんそくなどのアレルギー疾患リスクが増加し、甲状腺機能や内分泌攪乱(かくらん)作用に影響を与えているといった知見がみられた。

 北海道大学環境健康科学研究教育センターは、15年から世界保健機関(WHO)の研究協力機関として、調査研究を続けている。環境化学物質は大気や川、海洋へと国境を越えて拡散しており、世界規模で考えていくことが必須である。

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