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金曜「ライフ・楽しむ」【わたし色】

おせっかい大いに焼きましょう 美馬のゆり

写真: 拡大

 ●公立はこだて未来大教授・美馬のゆりさん

 日本で経済格差、教育格差が広がっています。北海道のような広い地域、都市間の人口差が激しい所ではなおさらです。

 今回の衆院選では、教育無償化が争点の一つになっていました。大学が無償化されれば、経済的な事情から進学をあきらめていた人たちには朗報です。しかし、ことはそれほど簡単ではありません。

 日本の子どもの貧困調査は大規模に実施され、その結果は対策も含めて書籍化されています。そこにあったのは、まずは高校を中退せず、卒業できるかどうかが、その後の人生に大きく関わってくるということでした。

 学歴の問題だけではありません。ある目標をやり遂げられるかどうか、その経験が人生さまざまなところで、効いてくるというのです。

 やり抜く力は、持って生まれたものではありません。やり抜いたという小さな経験の積み重ねが、やり抜けるという自信につながっていきます。高校を卒業し、そこでのチャレンジの経験が、さらに大学で学びたいという意欲につながります。

  □  ■  □

 三十数年前、米国の大学院で学んでいた時のこと。ボストン市の低所得者地域の幼稚園や小学校で、先進的な教育の取り組みがありました。企業の財団や行政の協力を得た大学の研究者たちの実験的な試みで、そこで得られたデータは様々な角度から分析され、その結果を受けて教育が改善されていました。

 例えば、意欲を引き出すために、読書した子どもにご褒美を与えても、長い目で見ると効果がありません。大人も同じで、競争やご褒美は短期的効果はあっても長続きしません。能動的、自発的なものが必要だということです。

  □  ■  □

 ではどうすればよいのか。米国での様々な試みはデータとして蓄積され、最近、成果をまとめた本が出ました。

 一番効果があるのは、幼児期の子どもとその保護者への介入でした。子どもの話を聞く、子どもと遊ぶ時間を作る。自分の話を聞いてくれる人がいる、注意を向けてくれる人がいる。このことが、子ども自身が自分の存在を肯定的にとらえ、頑張る気持ちをわかせるというのです。

 こういったことは、親でなくてもよいでしょう。自分を受け入れてくれる地域の人たちがいる。先生がいる。何かの事情でやめたとしても、戻って来たいと思えば、それを受け入れてくれる所がある。その土壌づくりが必要です。

 人生の大きな仕事を終え、時間的ゆとりがある人たちの出番です。おせっかいできる場所を探して、大いに世話を焼いてみてはいかがですか。

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